アジア最終予選は9試合で3失点 堅守を誇った日本の守備陣は世界に通用する?

オーストラリア戦ではセンターバックでコンビを組んだ吉田麻也と板倉滉 photo/Getty images

ここからが楽しみだ

終わってみれば怒涛の6連勝でワールドカップ・カタール大会行きを決めた日本代表。ここまで批判の多い代表も珍しいが、その中で[4-3-3]という新システムを見つけ出し、サウジアラビアやオーストラリアといったアジアのライバルから勝ち点3をもぎ取っている。

その中で、目立つのはやはり守備陣の奮闘だ。もちろん、試合に勝つには点を取る必要があり、そこで輝く伊東純也や三笘薫が称賛されるのは必然だが、彼らを支えているのは守備陣だ。

まずはビルドアップの質の高さだ。左サイドバックの長友佑都はその部分で批判されることが多いのだが、中山雄太に代われば逆にビルドアップの質が高まり、左サイドからの攻撃が多くなる。右サイドバックの酒井宏樹と山根視来は後方で司令塔となれる現代的なSBであり、山根はオーストラリア戦でゴールの起点となった。今のセンターバック陣は板倉滉、谷口彰悟の台頭で、誰が出ても組み立てに困ることはない。

攻撃を跳ね返す基本的な守備能力の高さはここまでの9試合で3失点の結果が証明している。日本が所属するグループBでは最少失点であり、アジア全体であれば韓国(2失点)に続く2番目の数字だ。これは十分に誇れるレベルにある。

さらに今後は怪我から復帰すればここに冨安健洋が加わることになる。ビルドアップでの貢献はもちろんのこと、対人性能が高く、188cmとサイズがある。イングランド・プレミアリーグのアーセナルでもその能力の高さは証明されており、衰えが見え始めた吉田麻也の穴は冨安が埋めることになるだろう。

また、今は招集外でも所属クラブで活躍している選手が多いのが、守備陣に期待できる要因の一つでもある。例えば、シュツットガルトで遠藤航と共にプレイしている伊藤洋輝だ。今の代表では珍しいレフティのセンターバックであり、さらにビルドアップがスムーズになるだろう。右SBであれば、シント・トロイデンの橋岡大樹やAZの菅原由勢、モンテディオ山形の半田陸らの名前が挙がる。どの選手も好調を維持しており、いつフル代表にお呼びがかかっても不思議ではない。

とはいえ、目指す先は欧州や南米といった強豪がひしめく世界であり、本大会までの親善試合でどこまでのレベルに耐えられるかは試しておく必要がある。例えば、経験と守備力を買われている長友がどこまでやれるかだ。現状では長友が60分過ぎまでプレイして中山を投入するのが、通例となっている。しかし、その長友の経験と守備が通用しなくなった際に彼を起用し続ければ、当然左サイドから守備が危険にさらされ、ピンチとなる。森保一監督が中山へ世代交代を行い、フィットすれば問題ない。しかし、フィットしなければ一気にアジアで築いた堅守が崩れることになる。

このように欧州や南米を含むアジア以外の国と対戦する際はレベルが一段も二段も上がることになり、今までの常識が通用しなくなる可能性は十分にある。日本代表はこの堅守をベースに形成されており、ここが崩れることになれば一気に苦しいサッカーに逆戻りだ。

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