シティで“時代”を作ることになる? ムバッペ、ハーランドらと張り合える多様性という武器を持つ男

中盤での市場価値が最高額になったフォーデン photo/Getty images

どこまで上り詰めるのか

育成環境が整っているのか、欧州各国では生きのいい若手が常に湧いて出てくる。昨季ブレイクした若手が、今季ブレイクした若手の存在感でかすむことも多い。それだけ、若手が存在感を示しているということであり、喜ばしいことである。

近年育成に力を入れたことで成果を上げ始めているクラブがあるマンチェスター・シティだ。2008年にアブダビ・グループに買収され、資金力を強みとするクラブになり、ロビーニョやカルロス・テベスといった実力者を引き抜いている。そうして年々スカッドを強化され、2022年となった今のスカッドは非常に豪華だ。こういった即戦力を獲得する補強方針を進めていたシティだが、裏ではチームの土台となる若手の育成も欠かさなかった。

それが明確に実り始めたのはここ近年であり、ジェイドン・サンチョやブラヒム・ディアスといった才能の放出もあったが、アカデミー育ちのフィル・フォーデンが最高傑作として育ちつつある。データサイト『transfermarkt』が示す市場価値は9000万ユーロ(日本円にして約121億円)となっており、CMFの中では世界で最も高い額となっている。シティではケビン・デ・ブライネと並んでチームトップである。この市場価値は選手そのものの実力以外に年齢も考慮されており、デ・ブライネと同格というわけではないが、それだけのポテンシャルを秘めているということになる。

21歳と若くこれからが楽しみなフォーデンだが、彼の武器といえばやはり攻守両面の能力が高水準であることだ。171cmと小柄ではあるが、イングランドの屈強な守備者に負けないフィジカルを有しており、推進力のあるドリブルで運ぶことができる。バイタルエリアにまで侵入できれば、パスにシュートと武器は豊富であり、様々な方法から得点を狙うことができる。守備では献身的な意識を兼ね備えており、彼が先頭を切ってハイプレスをかけることも少なくない。

それだけ能力が高ければ、複数のポジションでプレイすることは可能であり、現状ではセンターフォワードでの偽9番、ウイング、インサイドハーフ、イングランド代表ではボランチとしても起用された。指揮官であるジョゼップ・グアルディオラということもあってかインテリジェンスがあり、そのポテンシャルは同世代でトップとされるキリアン・ムバッペやアーリング・ハーランドらとそう変わらないだろう。

ダビド・シルバの後継者として登場してから順調に育っているフォーデン。英『manchester evening news』では同じアカデミーで育ったリアム・デラップがフォーデンについて話しており、「若い選手はみな、フォーデンと目標にしている」と語っている。これはクラブとしては良い傾向であり、次なるフォーデンはすでに生まれているのかも知れない。

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