原大智は“日本のベグホルスト”になれるか バーンリー対シティから見る日本代表のW杯での戦い方

高さという明確な武器を持つ原大智 photo/Getty images

ボールを支配され守備の時間が長くなると予想できる

プレミアリーグ第31節バーンリー対マンチェスター・シティの一戦はシティが長い時間ボールを保持し、ゲームを支配して2-0で勝利している。スタッツも圧倒的であり、ボール保持率は77%、シュート数は17本と攻め続けた。対するバーンリーの保持率は23%、シュート数は3本に終わっている。バーンリーは堅守速攻とシティの苦手とするスタイルをもつが、番狂わせを起こすことはできなかった。

普段よくあるプレミアリーグの1試合だったが、日本代表がこのゲームから学べることはいくつかあるように思われる。ワールドカップ・カタール大会のグループステージ抽選会が先日行われ日本代表はスペイン、ドイツ、ニュージーランドとコスタリカが対戦するプレイオフの勝者と同組のグループEに入った。日程はすでに公開されており、初戦はドイツ、2戦目はプレイオフの勝者、そして3戦目にスペインと戦うことになる。

ドイツ戦もそうだが、このバーンリー対マンチェスター・シティの一戦は日本代表対スペイン代表の構図に似ることになると予想できる。スペイン代表は[4-3-3]でポゼッションサッカーを志向しており、シティのように支配率が7割を超えることはざらにある。相手の守備陣を崩す方法を熟知しており、パスで揺さぶり、人を動かしてスペースを突いてくる。ペナルティエリアのポケットと呼ばれる深い位置を何度も使い、そこからのクロスで得点を取りに来る。日本はアジア最終予選でバーンリーのように押され続けたゲームはなかったが、相手が欧州最先端のスペインとなればそうなっても不思議ではない。

バーンリーはボールを保持するシティに対し、[4-5-1]で守った。自陣に引きこもるだけでなく、時にはハイプレスを仕掛けて相手のビルドアップにプレッシャーを与えていた。攻撃時は自信を持ってつないでビルドアップをしており、ドワイト・マクニールのドリブルや前線の高さのあるボウト・ベグホルストらを起点にボールを前進させている。日本がバーンリーから見習いたい点はここだ。試合を通して攻められ続ければどうしても隙ができてしまい、崩されてしまう。それでも、ある程度自分たちの時間があれば、相手にもプレッシャーを与えることができる。それが可能なのは相手からボールを奪った後であり、そこで効果的にビルドアップしてハイプレスを無効化できれば素晴らしく、できずとも前線にベグホルストのような197cmの長身FWがいればロングボールから起点は作れる。日本代表に現状そういった選手はいないが、シント・トロイデンの原大智はそれを実現可能にする数少ない戦力である。

今季はアラベスからシント・トロイデンにレンタルされている原。191cmと長身であり、空中戦が強く、ベルギーでは今季130回もエアバトルを制している。足元の技術も高く、ポストプレイも可能であり、彼を起点に三笘薫や伊東純也でカウンターを実行できればスペイン代表に脅威を与えることができる。実際にバーンリーもベグホルストを起点に推進力のあるマクスウェル・コルネが高速カウンターを見せる攻撃は何度かやっており、日本代表が取り入れたい部分である。

長くボールを支配され、守備の時間が続くことが予想できるスペイン戦やドイツ戦。ビルドアップで丁寧につなげれば相手のハイプレスを無効化できるが、リスクも伴うやり方であり、セットプレイでも輝くことが可能な原のような長身FWは必要となりそうだ(データは『SofaScore』より)。

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