ビッグクラブを渡り歩く男に、若いラ・ロハの未来たち スペイン代表は今、誰がいる?FW編
決定力の低さを批判されるが他の能力は高水準で知られるアルバロ・モラタ photo/Getty images
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曲者ばかりだ
先日、ワールドカップ・カタール大会のグループステージの抽選会が行われ、日本代表のスペイン、ドイツ、そしてニュージーランド対コスタリカのプレイオフ勝者が入るグループEとなった。決勝トーナメント進出を目指す日本としては非常に苦しく、森保一監督の手腕に期待だ。
そんな楽しみなW杯だが、やはり注目はスペイン代表だろう。特に2008年から2012年の4年間は強く、EUROの連覇とW杯の優勝を成し遂げている。そこから少し落ちる時期もあったが、元バルセロナのルイス・エンリケが監督になったことで復活しており、今夏にあったEURO2020では下馬評を覆して4強入りを果たしている。非常に強いチームであり、今ワールドカップ・カタール大会では優勝候補の一角だ。
まずはCFとして、ユヴェントスのアルバロ・モラタ(29)だ。189cmとサイズのあるストライカーであり、今季クラブではリーグ戦8ゴール5アシストを記録している。決定力の低さがたびたび指摘されているが、アイスランド戦では2ゴールを決めて存在感を示している。また、決定力は気になる部分ではあるが、それだけチャンスに絡んでいるということであり、動き出しはピカイチだ。また、これまでにレアル・マドリード、ユヴェントス、チェルシー、アトレティコ・マドリードと複数のビッグクラブを渡り歩いており、適応力の高さも彼の魅力の一つだ。
フェラン・トーレス(22)はマンチェスター・シティからバルセロナへ移籍し、一気に存在感を高めた。ウイングで起用されることが多く、ドリブル突破の技術はまだまだ発展途上だが、抜かずとも高精度のクロスで攻撃を活性化させることができる。得点力のある選手であり、短い時間で仕事をする三笘薫のような存在でもある。トーレスはボールを持っていないオフザボールでも輝ける選手であり、彼の動き出しには両サイドバックが目を光らせる必要がある。
登録自体はMFだが、ライプツィヒのダニ・オルモ(23)は最前線で起用されることが多く、外のレーン、中のレーンの使い分けで攻撃を行ってくる。ボールを持った際の技術の高さは折り紙つきで、時に動き出しでフリーになることの多いインサイドでのプレイは要注意だ。ボールを持てばパスにシュートとどれも高水準であり、少しでも間合いを開ければ遠くからでも積極的にシュートを狙ってくる。このミドルシュートがとにかく高精度であり、彼への守備はより慎重に行うべきである。東京五輪ではU-24の日本代表が戦っており、そこで経験を生かすべきか。
基本的に彼らが3トップを組んで試合に臨むことになるといえるが、生きのいい若手としてビジャレアルのジェレミー・ピノ(19)が代表で躍動している。19歳と若い選手だが、すでに代表キャップは4試合であり1ゴールを決めている。技術の高いドリブラーで足元でもスペースでもどちらでも受けることができ、そこからチャンスメイクは絶品だ。ビジャレアルでは1試合に4ゴールを決めた経験を持ち、現マジョルカの久保建英はビジャレアル時代にこのピノにポジションを奪われてしまった。
現状では招集外だが、期待されているのはアンス・ファティ(19)だ。今は怪我で離脱中の選手だが、プレイすればゴールを奪える得点力を持っている。一つ一つの技術が高く、彼が怪我をしていなければバルセロナはより強いチームとなっている。
同じく怪我で招集外だが、レアル・ソシエダのミケル・オヤルサバル(24)は素晴らしいアタッカーだ。前線であればどこでもプレイできるユーティリティ性があり、それを実現できる技術と賢さを備えている。チャンスメイクに加えてシュートも上手く、スペイン代表の未来ともいわれている。残念ながら前十字靭帯を断裂したことでカタール大会の出場が危ぶまれており、早期の復帰を願いたい。
彼ら以外にもエスパニョールのラウール・デ・トマスやスポルティングCPのパブロ・サラビアとFWだけでも選手層の厚いスペイン代表。特にオルモは要注意であり、日本代表は無失点に抑えることができるのだろうか。