日本代表は19歳の天才ムシアラに注意しろ ドイツ代表は今、誰がいる? MF編
ドイツ代表で躍動する若いジャマル・ムシアラ photo/Getty images
実力者揃いだ
今回のワールドカップ・カタール大会では日本代表と同組のグループEに入ったドイツ代表。W杯では2002年の日韓共同開催では準優勝、そこからドイツ大会、南アフリカ大会、ブラジル大会では上位入賞しており、ブラジルでは優勝を飾っている。欧州の頂点を決めるEUROでは2008年に準優勝、2012年と2016年では4強入りを果たしており、これまで優秀な成果を残しているが、W杯、EURO共に直近の大会では上位入賞とはならなかった。そこで数々の大会で好成績を残した名将ヨアヒム・レーヴがその座を降り、現在は元バイエルン・ミュンヘンのハンジ・フリックがチームを率いている。
ドイツではブンデスリーガのバイエルンが長年結果を残しているだけあって、代表でも影響力が強い。中盤であればヨシュア・キミッヒとレオン・ゴレツカのバイエルンコンビが代表でもそのままダブルボランチを組むことが多い。
キミッヒはサイドバックや最終ラインなど複数のポジションをこなすことができるユーティリティプレイヤーで、近年では中盤に定着してクラブや代表を支えている。パスを捌ける選手であり、両足から高精度のパスを供給して攻撃を展開していく。セットプレイ時はキッカーを任されるほどの質の高いキックを持っており、バイエルンでは今季9アシストを記録している。
ゴレツカは攻撃に関与することの多いキミッヒとは違い、より守備で輝くことのできる選手だ。もちろん、中盤としての配球力や攻撃への意識の高さも十分に高いが、189cmとサイズを生かした球際の強さがチームを支えている。近年は目に見えて体つきが変わっており、世界でも有数のファイターだ。
ドイツ代表はトニ・クロースが代表での活動を引退しているが、前述した2人のようにワールドクラスの選手は多く、イルカイ・ギュンドアンレベルの選手が控えている。マンチェスター・シティで長くプレイしており、昨季はボックス内への飛び出しが上手くハマりリーグ戦で13ゴールを決めている。配球力、動き出しとドイツらしいボランチであり、キミッヒ、ゴレツカにも劣らない実力者である。
バイエルンの新星・19歳のジャマル・ムシアラの起用法には注目したい。チェルシーとバイエルンの下部組織育ちで2020年にトップチームデビューを飾っている。昨季は途中出場でチャンスを得ており、今季はすでに25試合でピッチに立ち、3ゴール5アシストと自身の地位を確立している。攻撃的なポジションで起用される選手であり、19歳ながらプレイのバリエーションが豊富だ。攻撃時はドリブルにパス、味方を生かすフリーランを行い、守備では献身的な意識を見せる。バイエルンでも代表でもそうだが、ダブルボランチでも起用が増えており、攻撃的に行きたい日本戦ではその位置でのスタメンがあるかも知れない。
直近のオランダとの親善試合では呼ばれなかったが、昨年のW杯欧州予選ではボルシア・ドルトムントからマルコ・ロイスが選ばれている。32歳とベテランとなった同選手だが、テクニックやスピードの面では衰えを感じさせることなく、ブンデスリーガでは23試合に出場して9ゴール7アシストを記録している。チーム内ではアーリング・ハーランドの16ゴールに続く2番目の数字であり、未だに輝きは失っていない。しかし、怪我の多い選手であり、今季は4度負傷でチームを離れている。その怪我の多さから「ガラスの天才」と呼ばれることも多く、代表での活動はフリックの判断にゆだねられる。
ドルトムントといえば、現在はベンフィカでプレイするユリアン・ヴァイグルが代表復帰を果たしている。若くしてドルトムントで重宝された中盤戦士であり、彼を狙うビッグクラブは多かった。しかし、18-19シーズンあたりから評価を下げるようになり、ベンフィカへ移籍している。5大リーグ外への移籍は話題となったが、このように代表復帰を果たしており彼にとって良い移籍だったことは間違いない。
ドイツ代表はフリック体制となってからほとんどの試合で[4-2-3-1]を採用しており、本大会でもこのシステムで来る可能性は高い。名のある実力者が多く、自分たちが攻撃を仕掛ける主導権を握った試合でのボール支配が上手く、日本代表としてはどれだけ耐えきれるかに勝負がかかっている。攻撃的な反面、中盤は少し守備が脆い。キミッヒ、ゴレツカ共に優秀な選手だが、優勝候補とされるフランスやブラジル、スペインと対戦するには中盤の強度が足りず、そういった点を補えるヴァイグルが最近呼ばれ始めたのは守備強度を高めるためなのだろう。日本としては前掛かりになった中盤が空けたスペースをどれだけ有効に使えるかがカギとなりそうだ。