地上戦、空中戦ともに森保ジャパンがつけ入る隙は極小 ドイツ代表は今、誰がいる? DF・GK編
日本代表の前に立ちはだかるマヌエル・ノイアー photo/Getty images
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ノイアーの守るゴールを敗れるか
11月から開催されるワールドカップ・カタール大会のような短期決戦ではセービングに長けたGKがいることで守備が安定し、勝ち星につながることが多い。ハンジ・フリックのもと新体制となったドイツ代表にはバイエルン・ミュンヘンのマヌエル・ノイアーがいる。
セービング技術はもちろんのことビルドアップやディフェンスラインの裏を狙うロングフィードの処理など、現代的なGKとしてノイアーは知られている。カタール大会で同組となった日本代表としては押し込まれた際にロングボールで反撃を目指したいが、DFとGKの間に正確にボールを供給しなければノイアーに処理されてしまう。判断力とそれを実行できる技術の高さがあり、英『90min』が作成した2021年のGKランキングではリヴァプールのアリソン・ベッカーやチェルシーのエドゥアール・メンディらを抑えて世界1位に輝いている。
そのノイアーの前には強力な壁としてチェルシーのアントニオ・リュディガーがいる。トーマス・トゥヘルのもとで評価を高めた選手であり、対人性能が非常に高い。スピードと強さ、判断力を兼ね備えており、チェルシーでは今季最も空中戦が強い(勝利数49回)プレイヤーとして知られている。ドイツ代表らしく足元の技術も高く、センターバックながらいつの間にか高い位置を取ってミドルシュートを打ってくる。それはパンチの効いたシュートであり、直近のブレントフォード戦ではボックス外から強烈なミドルシュートを沈めている。
その相棒候補としてドイツ国内で急激に評価を上げているのが、フライブルクのニコ・シュロッターベックである。22歳と若くこちらもリュディガー同様に速く、強く、賢い。ビルドアップでは正確なパスで攻撃を支える現代的なCBであり、ボルシア・ドルトムントやバイエルンが獲得を狙っていると盛んに報じられている。唯一の懸念点は国際大会の経験不足だが、クラブでは状況を冷静に判断できる選手であり、残念ながら日本がつけ入る隙と考えるのは甘いか。
左サイドバックではフリック体制となってからダヴィド・ラウムが台頭している。元はFWの選手であり、その時に培ったスピードやドリブルの技術をSBとして遺憾なく発揮している。今季はホッフェンハイムでプレイしているが、昨季までは当時2部だったグロイター・フュルトでプレイしており、現在進行形でステップアップに成功している。EURO2020では左ウイングバックとして攻撃的なロビン・ゴセンスが注目を浴びたが、カタールではラウムにスポットライトが当たることになるか。
ドイツ代表は右サイドバックにこれといった絶対的な選手はおらず、ここまでのフリック体制ではパリ・サンジェルマンのティロ・ケーラー、ボルシアMGのヨナス・ホフマン、ライプツィヒのルーカス・クロスターマン、ヴォルフスブルクのリドル・バクらがローテーションで起用されている。選手タイプでいえばケーラーは守備的、ホフマンはポリバレントな選手で所属クラブでは中盤や攻撃的な位置でプレイしている。クロスターマンとバクは攻撃的な選手となっており、試合に応じて使い分けられるか。対日本代表は前掛かりに来ることが予想され、であればクロスターマンかバクが出てくるだろう。
GKにCBと盤石といえるメンバーを揃えているが、ドイツ代表としてはSBが少し物足りない。そういったこともあってアルメニア戦とイスラエル戦では[3-4-3]を試している。ドイツはクラブでも3バックを採用しているチームが多く、バクのヴォルフスブルクやラウムのホッフェンハイムがまさにそうだ。彼らはクラブではウイングバックとして起用されており、その方向で来ることも考えられる。
日本代表が注意するべき点として考えられるのが、リュディガー、シュロッターベックからなる高さだ。190cm級の高さは攻撃でも守備でも驚異的であり、セットプレイでは前線にサイズのある選手がいない日本は不利となってしまう。原大智という191cmのFWがシント・トロイデンにいるのだが、現状では選ばれておらず、カタールまでに代表入りするのは難しいだろう。であれば、地上戦で戦うことになるが、リュディガーとシュロッターベックは地上戦でも頼もしい。彼らを越えても世界最高峰のノイアーがおり、伊東純也や三笘薫とアジア最終予選で輝きを放ったドリブラーたちがどこまで通用するのかがカギとなりそうだ(データは『SofaScore』より)。