ベンゼマをも“No.2”にしてしまった天才 世界のトップになれたはずのファンタジスタのキャリア

今はリールに所属するベン・アルファ photo/Getty Images

才能だけなら同世代を圧倒していた

6日に行われたチャンピオンズリーグ準々決勝1stレグのチェルシー戦でもハットトリックを記録するなど、勢いが止まらないレアル・マドリードFWカリム・ベンゼマ。

ベンゼマは1987年生まれの選手だが、この世代はサミル・ナスリやジェレミー・メネズらを含め「フランス華の世代」と呼ばれることもある。

その中でもベンゼマが1番ヒットしたのは間違いないが、才能だけならベンゼマを上回っていたと考えられている者がいる。同じく1987年生まれのFWハテム・ベン・アルファだ。

10代の頃より高い評価を得てきたベン・アルファは、現代では少なくなったファンタジスタ気質のアタッカーだ。独特なアイディアと、それを実現する左足のテクニックを併せ持ち、確かに才能はトップクラスだった。

しかし、ベン・アルファはなかなかチームにフィットしなかった。個性が強すぎる部分もあったのだろう。現代サッカーで王様タイプの選手は扱いづらい。

仏『RMC Sport』によると、かつてベン・アルファの代理人を務めていたフレデリック・ゲラ氏はベン・アルファの存在がベンゼマにとっては大きかったのではないかと振り返る。

「以前彼を担当していた際に、U-17フランス代表のトレーニングを見に行った。ベンゼマはハテムのおかげで、自分が2番目に最高な選手なのだと理解していた。才能が不十分だと。それはベンゼマに最高の選手になるとの野心を与えることになり、彼はそこに到達した。一方のハテムはというと、自分の才能が十分だと考えていたのだろう」

ゲラ氏はベン・アルファの才能が同世代のフランス人選手の誰よりも秀でていたとも振り返っている。しかしスポーツ選手にとって過信は禁物であり、気を緩めるとライバルに抜かれてしまう。No.2だと理解したベンゼマはトレーニングを重ねたからこそ、今のレベルに達したのだろう。

才能を活かしきれなかった選手は数知れず、ベン・アルファもその1人か。やや性格のきつい部分もあり、チーム上層部と衝突することも1度や2度ではなかった。

代表でベンゼマとベン・アルファのコンビも見てみたかったが、フランス華の1987年組が思うようにフィットしなかったのは残念だ。

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