ファーガソンがもう1年監督を続けていたら香川真司のキャリアは変わっていたのか サッカー界におけるめぐり合わせの難しさ

ファーガソンに見出された香川真司 photo/Getty Images

一時はサッカー界のトップにまで上り詰めた香川

現在ベルギー1部リーグのシント・トロイデンVVに所属する香川真司が、現地メディア『DeMorgen』のインタビューに応じ、マンチェスター・ユナイテッド所属時代の監督アレックス・ファーガソンへの思いなどを語った。

2012年、ドルトムントの中心選手としてリーグ連覇を達成した香川は、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドへと移籍。名将アレックス・ファーガソンの下、世界有数のチームで1年目から26試合に出場し、プレミアリーグ制覇に貢献した。

ところがシーズン終了直前、ファーガソンが監督業引退を宣言。「少なくとももう1年はファーガソンと一緒に仕事ができると思いました」と語った香川は、デイビッド・モイーズ新監督の下でマンチェスター・ユナイテッド2年目を迎えることとなる。

ここから歯車が徐々に狂い始めた。チームの低迷に巻き込まれ、自身もなかなか実力を発揮することができず。2014年の夏にドルトムントへ復帰すると再び活躍を見せたが、マンチェスター・ユナイテッド移籍前に比べるとゴールへの直接的な関与は減っていった。

果たして香川は、ファーガソンが引退していなければさらなる高みへと到達することができていたのか? 少なくとも、脱サイド攻撃を掲げて香川を獲得したファーガソン監督の下でプレイを続けられていれば、中央のポジションで攻撃のタクトを振るっていた可能性もあった。しかしモイーズ政権下ではサイドで起用されることが多く、時には1試合で81本ものクロスをあげる戦術にも批判が集まった。香川を生かせるサッカーだったか、と問われれば疑問を呈さざるを得ない。

香川は今回のインタビューで、今まで一緒にプレイした中で最高のプレイヤーとして、マルコ・ロイス、ウェイン・ルーニー、ロビン・ファン・ペルシー、ライアン・ギグス、ジェイドン・サンチョ、ウスマン・デンベレ、ピエール・エメリク・オバメヤンといった選手を挙げている。

この中で今も現役として活躍しているのはロイス、サンチョ、デンベレ、オバメヤンの4人だが、その中でもロイスとオバメヤンは香川と同じ1989年生まれ。ロイスは今なおドルトムントの中心選手として躍動し、オバメヤンはアーセナルからバルセロナへ移籍し得点源となっている。

もしもファーガソンがもう1年監督を続け、香川を指導していたらと、日本のサッカーファンなら夢想してしまうことがあるだろう。ロイスやオバメヤンのように、30歳を超えた今なお4大リーグのトップクラブで活躍していたかもしれない。そんな香川は現在ベルギー1部リーグで奮闘中。なかなか先発出場の機会はやってこないものの、レギュラーシーズン最終節となるスタンダール・リエージュ戦に向けて「チームを助ける準備ができている」と語った。もしもの世界ではなく、現実の今と向き合う香川は、地に足をつけて目の前の試合に集中している。

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