ブラジルとの一戦は仮想スペイン&ドイツ ワールドカップ優勝経験国と試合をする意義は

ネイマールら強烈なタレントを擁するブラジル photo/Getty Images

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W杯の優勝経験があるのはわずか8カ国

FIFAワールドカップカタール大会への出場権を獲得した日本代表。1次リーグの組み合わせ抽選会も行われ、日本は強豪スペイン・ドイツと同じグループEに入った。森保監督は目標として「ベスト8以上」を掲げているが、この2チームが高い壁として立ちはだかる。

ワールドカップ本戦に向け、日本は計6試合の強化試合を予定。欧州ネーションズリーグの影響により、仮想スペイン・ドイツとなるヨーロッパ強豪国との対戦は叶わないが、サッカー王国ブラジルとの親善試合が組まれることになるとみられている。対戦が実現するかどうかはまだ定かではないが、そうなった場合、どのような意図を持ってこの試合に臨むかが重要だ。

スペイン・ドイツ・ブラジルの共通点として、ワールドカップでの優勝経験があることが挙げられる。さらに、日本はこの3カ国に国際Aマッチで過去一度も勝利したことがない。そもそもワールドカップの優勝経験がある国はわずか8カ国だが、そのうち日本が勝利を挙げたことがあるのは、ウルグアイ・アルゼンチン・フランスの3カ国だけ。この勝利から見えるものとは何か。

ウルグアイとは1996年に5-3、2018年に4−3の撃ち合いで勝利を挙げている。しかしスペイン・ドイツに撃ち合いで勝とうとするのは無謀だろう。それよりも目を向けるべきは1-0で競り勝った2010年のアルゼンチン戦と、2012年のフランス戦だ。アルゼンチン戦でもフランス戦でも共通して言えるのが、「キーパーが好セーブを連発したこと」だ。どちらの試合もゴールを守ったのはザックジャパンの守護神だった川島永嗣。メッシやテベス、ベンゼマなどが放った危険なシュートを川島が何度も止めてみせた。

そしてもう1つ。「ゴールに向かう姿勢」も勝利に影響しただろう。アルゼンチン戦では就任から3試合目の指揮をとったザッケローニ監督が「相手ゴールに向かう姿勢を見せろ」という指示を送り、選手たちはその通りにトライ。ポゼッションは4対6ほどでアルゼンチンに譲ったが、シュート本数はアルゼンチンの13本に対し、日本は15本と2本上回っている。フランス戦は押し込まれて守備に回る時間が多いながらも、香川・長友・中村憲剛らが時折フランスゴールに襲いかかった。最終的には今野が発動したカウンターを右サイドにいた長友が中に折り返し、香川の決勝ゴールが生まれている。

この2点を踏まえ、「好セーブを連発することができるキーパーは誰なのかをはっきりさせること」と「強い圧力の中でもゴールに向かえる選手を見つけること」がブラジルと強化試合を行う一つの意義と言える。現在のブラジル代表はワールドカップ南米予選を無敗で勝ち上がるほど充実しており、攻撃陣はネイマール以外にもヴィニシウス・ジュニオール、ガブリエウ・ジェズス、リシャルリソン、アントニー、ガブリエウ・マルティネッリなど、欧州で活躍している一流のタレントを擁する。多くのシュートが枠に飛んでくるはずで、ワールドカップ本番に向けた正ゴールキーパーを決める絶好の機会となるだろう。90分で複数のキーパーを出場させて試すのもありかもしれない。

さらに、現在のブラジル代表は守備陣も強力。中盤ではカゼミロとファビーニョがフィルター役として構え、最終ラインにはマルキーニョスやミリトン、チアゴ・シウバといったビッグクラブの壁が立ちはだかる。圧倒的に押し込まれる展開が予想される中、この守備陣をくぐり抜けてゴールに向かうことができる選手が果たしてどれだけいるのか。フランス戦の今野や長友の活躍を考えると、サイドバックどころかセンターバックも例外ではなく、攻撃でアピールできる選手を見極めたい。

カタールワールドカップ本番まで残り7ヶ月。このブラジル代表戦が実現するのであれば、本戦でミラクルを起こすために必要な選手を見つける絶好の機会となるだろう。

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