経験値がプラスされた“30代ストライカー”が主役の時代へ? コンディション管理で変わるサッカーの世界

レヴァンドフスキはその中でも代表例 photo/Getty Images

若さがすべてではない

現在の欧州5大リーグを見てみると、30代のFWが得点ランク上位に食い込んでいるケースが目立つ。

リーガ・エスパニョーラはレアル・マドリードのカリム・ベンゼマ(34)が24ゴールで独走。ブンデスリーガはバイエルンのロベルト・レヴァンドフスキ(33)が32得点で首位。

リーグ・アンではモナコのウィサム・ベン・イェデル(31)が18得点で2位につけ、パリ・サンジェルマンのキリアン・ムバッペを2点差で追っている。セリエAでは22歳のユヴェントスFWドゥシャン・ヴラホビッチ(22得点)と32歳のラツィオFWチーロ・インモービレ(21得点)でデッドヒート状態だ。

30代FWの活躍はここ1、2年の注目ポイントになっており、英『The Guardian』はベテランプレイヤーへの視線も変わってきたと見る。

アタッカーの選手にはスピードが求められることもあり、どちらかといえば攻撃的な選手ほど平均年齢は若くなる傾向にある。センターバック、あるいはGKといったポジションでは若さよりも経験値が重視される機会も多いため、30代半ばや40歳に近い選手の活躍も目につく。

しかし、昨今はアタッカーの選手も経験値が重視され始めてきているのかもしれない。近年は栄養学や疲労回復などスポーツ科学が発達していることもあり、年齢を重ねてもトップコンディションを維持する者が増えてきた。そこに経験値がプラスされるため、ベンゼマやレヴァンドフスキのように年齢を重ねてもゴール量産が可能となるのだろう。

ベンゼマも充実のときを迎えている photo/Getty Images

また同メディアは、ベテランになってからの方が体のケアに気を配る選手が増え、それがピッチ上のパフォーマンスに直結していると主張する。

若い頃はスター選手らしい派手なパーティーを夜更けまで催したとしても、まだまだ無理が利く年齢だ。多少食生活や睡眠のリズムが乱れていたとしても、若いうちはそこまで問題にならない。

しかし選手たちは30歳が近づいた段階でキャリアの終わりを感じ始める。そこでキャリアを延ばすために睡眠、リカバリー、食事など生活を見直すことになり、むしろベテランになってからの方が理想的なコンディションでプレイできている選手が増えているのではないかと同メディアは見ている。

もちろん若い頃と同じ生活を続けている選手は選手生命も短くはなるだろう。現代はよりアスリート化してきているところがあり、ストイックにトレーニングを続けなければ生き残れない。それをこなすことができれば、経験値も含めて理想的なアタッカーが完成することになる。

サッカー界でアタッカーへの視線が変わりつつあるのは間違いなく、今後は若さだけでなく経験値ある30代のストライカーが主役になっていくかもしれない。年齢だけで判断するのは難しい時代となってきた。

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