日本代表は“縁の下の力持ち”原口元気をどう生かす? 経験とポリバレント性を備える男がカギとなる
日本代表では継続して招集される原口元気 photo/Getty images
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これからの起用が楽しみだ
ワールドカップ・カタール大会でのグループステージではスペイン代表、ドイツ代表と同組となった日本代表。4カ国目はプレイオフの勝者が入ることになっており、ニュージーランド代表とコスタリカ代表の勝者が対戦する。GKケイロル・ナバス擁するコスタリカはプレイオフに回っているが、予選ではアメリカ代表やカナダ代表といった本選出場国も破った実力を持っており、日本としてはニュージーランドの勝利を願いたい。
そんなサムライブルーだが、本選までに6月のキリンチャレンジカップでの4試合、9月の代表ウィークでの2試合を親善試合として戦うことができる。今回は本大会がシーズン中に行われることになっており、普段と比べテストゲームの数が少ない。そういった背景もあってこれまで招集できなかった選手を加えるのは難しいだろう。ピッチ内だけでなくロッカールームでの振る舞いなどピッチ外での適応も重要であり、基本的にはこれまで招集された選手の中からカタールに行く23名が選ばれることになるだろう。
であればこれからの6試合は、中山雄太をはじめとする招集はされていたが、継続した出場機会を得られなかった選手の起用に期待したい。
特に原口元気は残りの6試合で十分な出場機会を得る必要がある。原口は運動量が豊富な選手であり、守備の強度を高めてくれる存在だ。サイド、インサイドハーフと起用ポジションが多く、控えとしてはこれ以上にない選手である。しかし、これまでの出番は少なく、特に[4-3-3]のインサイドハーフでピッチに立った回数は数えられるほどしかない。その一つがベトナム戦であり、あの試合では彼本来のパフォーマンスを見ることができなかった。次はアンカーに遠藤航、インサイドハーフに守田英正、もしくは田中碧がいる状態での中盤起用が見てみたい。
原口がインサイドハーフで強度を保てることを証明できれば、中盤の人選は広がることになる。現状ではアンカーに遠藤、インサイドハーフに守田、田中が固定であり、代えはいない。それでも、2試合おきに開催されるアジア最終予選ではコンディション調整は可能だったが、スペインやドイツとより強度の上がる中でさらに中3日で3試合となれば、選手を固定して強度を保つのは不可能に近い。途中から選手を交代させるなど何か策がなければコンディション不良や怪我にもつながりかねず、これは最も避けたい事柄の一つである。
また、グループステージで対戦するスペインとドイツは攻守においてレベルの高い国であり、押し込まれることを前提とした3バックにシステム変更をする可能性も考えられる。森保一監督はサンフレッチェ広島でJリーグを制した際は3バックであり、日本代表の監督となってからも試している。アジア最終予選では全試合で4バックだが、対戦相手を考えれば後ろを3枚にする選択肢も悪くない。幸い日本代表は冨安健洋をはじめとする屈強なセンターバックが揃っている。
原口はウイングバックでの起用も可能な選手だ。ポリバレント性が彼の強みであり、クラブであればハノーファー時代にプレイしている。現状では左の序列は長友佑都が不動で、それを追いかける形で中山となるが、3バックを導入するのであれば中山を後ろ3枚の左に置くのも悪くない。ズヴォレでは3バックの中央であり、左サイドバックより慣れている。このように複数のポジションで原口が控えとなれば縁の下の力持ちのようにチームを支えることができる。
アジア最終予選ではメンバーをある程度固定することで乗り切った日本代表。しかし、連携が深まる分、選手層は決して厚くはなく、ここからの6試合でどれだけ層を厚くできるかが本選を戦ううえでのカギとなる。