毎年のように大型補強を行うもなぜ左SBは手薄なのか “失敗続き”シティの過去の補強歴

バンジャマン・メンディが大成していればマンチェスター・シティはこれほど左SB不足に悩まされていないだろう photo/Getty images

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左SBだけ思うような成果は挙げられていない

2008年アブダビ・ユナイテッド・グループ・フォー・ディベロップメント・アンド・インベストメントに買収され、資金力を持つようになったマンチェスター・シティ。16-17シーズンから始まったジョゼップ・グアルディオラ政権となってからはとくに移籍市場に資金を投入するようになっており、毎年シティが移籍市場で主役となっている。

ペップ就任後、とくに力を入れたのが最終ラインの改革だ。就任した16-17シーズンにジョン・ストーンズをエヴァートンから、クラウディオ・ブラボをバルセロナから獲得している。ポゼッションサッカーの根幹を担う2人をチームに加えており、ストーンズは当時DFとしては最高額の5000万ポンドが支払われた。

DFの補強はまだまだ続き、翌年にはアイメリック・ラポルト、カイル・ウォーカー、バンジャマン・メンディ、エデルソン・モラレス、ダニーロを獲得し、この年だけで5人の守備者が加わった。そういった積み重ねもあって昨季はリーグ戦で26失点とリーグ最少を記録しており、チームは安定感を得ている。
しかしここまで補強しても不安定なポジションがある。それが今話題となっている左サイドバックだ。ペップ・シティの悩みの種であり、昨季はジョアン・カンセロとネイサン・アケ、オレクサンドル・ジンチェンコの3人でローテーションしてシーズンを乗り切った。

シティの左SBが面白いのは誰も本職の選手ではないところだ。カンセロは右サイドバック、ジンチェンコは中盤、アケはセンターバックであり、彼らのユーティリティ性があってこそ乗り切れているが、他のクラブであれば普通の状況ではないだろう。

こうなってしまったのも過去の補強の失敗が大きく影響している。今夏の移籍市場ではマルク・ククレジャの獲得を目指したシティだが、ブライトン側が提示する5000万ポンドの評価額が高すぎるとして交渉から離れている。しかしシティは以前SBに5200万ポンドの移籍金を支払っている。バンジャマン・メンディのことだ。モナコからやってきたレフティで、クロス精度、アスリート能力の高さと期待できるものは持っていたが怪我が多く、大成することはなかった。

トップチームの選手でペップ政権となってから左SBを獲得したのはこのメンディとアンヘリーニョの2人しかいない。今ではトップチームにいない選手であり、どちらかがチームにフィットしていれば今頃シティはここまで左SBで悩んでいないだろう。またメンディには高額の移籍金をつぎ込んでおり、彼の失敗もあって左SBの人選には慎重になっているのかもしれない。

ククレジャから撤退し、新たな左SBを探しているシティ。アンデルレヒトのセルヒオ・ゴメスがターゲットのようだが、獲得後は即ジローナにレンタルに出されるとの話もあり、将来を見込んでの獲得となりそうだ。トップチームの明確なターゲットはまだ定まっておらず、移籍市場の閉幕までに間に合うのだろうか。

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