他のクラブではありえない? デルフにジンチェンコ、MFをSBとして起用するペップ・シティの不思議

シティでの中盤からSBへのコンバートはファビアン・デルフから始まった photo/Getty images

セルヒオ・ゴメスも彼らに続くか

英『The Athletic』によるとマンチェスター・シティはアンデルレヒトのセルヒオ・ゴメス獲得で合意したようだ。総額1300万ユーロの移籍金を支払うことになっており、今後メディカルチェックが行われるという。

スペイン代表のアンダー世代では10番を背負うなど攻撃的なMFとして知られたゴメスだが、アンデルレヒトでヴァンサン・コンパニに左サイドバックにコンバートされ、飛躍を掴んでいる。攻撃的なSBであり、昨季は6ゴール11アシストと素晴らしい数字を残している。まだ21歳と若い選手であり、ペップの下でどのように成長するのか楽しみだ。

ゴメスもそうだが、シティのSB、とくに左SBは他のポジションからコンバートされた選手が多い。アーセナルへ移籍したオレクサンドル・ジンチェンコや現在はフリーになっているファビアン・デルフがそうだ。両者ともに中盤の選手だったが、シティでは左SBで起用され評価を高めた。

今季で7年目に突入するペップ政権ではアレクサンダル・コラロフ、ガエル・クリシー、デルフ、バンジャマン・メンディ、ジンチェンコ、アンヘリーニョ、ジョアン・カンセロと、7人の選手が左SBとして起用されている。ゴメスがシティのトップチームでプレイすることになれば8人目だが、その中の3人は元中盤だ。他のクラブでは考えられない数字であり、ペップがSBに何を求めているのかが分かる。

プレミアリーグの初戦ウェストハム戦ではSBのタスクが非常に分かりやすかった。ビルドアップ時は従来のサイドに開く形ではなく、アンカーのロドリの脇を埋めるようにサポートし、中盤として組み立てに加わる。右SBのカイル・ウォーカーがネイサン・アケとルベン・ディアスの2人のCBの間に落ちるシーンもあり、他のクラブであればアンカーやボランチの選手がするポジショニングである。このビルドアップは非常に効果的であり、デクラン・ライスをはじめとするシティの組み立てにプレッシャーを与えるはずの選手が満足に仕事をできておらず、2-0の勝利につながった。

すでにシティでは元MFがSBに2人コンバートされているが、守備の不安は常に拭いきれない。ジンチェンコは対人性能での改善を見せたが、セットプレイなどの守備は元中盤ということもあってか弱みになってしまう。これはジンチェンコとデルフに共通しており、ゴメスはその流れを断ち切れるか。

ペップのサッカーで最も注目されることが多いSB。今季は初戦から興味深いビルドアップを披露しており、SBの工夫はどこまで続くのだろうか。

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