4シーズンで50%も減少? 時代の変化と共に消えつつある”スルーパス”という選択肢

スルーパスの王リオネル・メッシは時代の流れに関係なく正確なパスを供給し続ける photo/Getty Images

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トップ下が減っているのも一つに理由か

時代と共にサッカーのトレンドも変化しており、以前は主流だったが今では見られる回数が減ったものもある。

英『The Athletic』の調べによるとCLでのスルーパス(DFとDFの間を通してスペースに送られたパスをスルーパスとする)数は18-19シーズンから21-22シーズンの間に50%も減少していたようだ。5大リーグやELでも同じであり、スルーパスが攻撃の手段の中で優先度が下がっている。20-21シーズンのCLでは全体のゴールの中でスルーパスが起点となったものは全体の8.3%であり、チェルシー対マンチェスター・シティのファイナルでのカイ・ハフェルツのゴールは数少ないスルーパスからの得点だった。

同紙ではスルーパスからのゴールが減っている要因としてスイーパー型GKの台頭が一つの根拠としている。確かにバイエルン・ミュンヘンのマヌエル・ノイアーのような守備範囲を持つGKは増えており、ディフェンスラインの裏にボールが届いても彼らにクリアされるシーンはよく見る。またスルーパスからのゴールはオフサイドを取られる可能性が高く、VARが一般化された今では減っていてもおかしくはない。
守備組織の強度が高まったことも一つの理由だろう。引いて守備をする際は中央を固めてなるべくサイドにボールを逃がすチームが増えた。中央突破よりもサイドからのクロスで得点が多く生まれており、同紙でもウイングがより重宝される時代になったとしている。

トップ下を採用するチームが減ったことも関係している。スルーパスでのアシストといえばトップ下のイメージが強いが、今のそのポジションはパスセンスだけでなく、守備強度も求められている。トップ下ではなくインサイドハーフにポジションが移り変わっており、パスセンスよりも他の能力に注目が集まっている。

それでもスルーパスを供給し続ける選手はおり、パリ・サンジェルマンのリオネル・メッシやリヴァプールのトレント・アレクサンダー・アーノルド、トッテナムのハリー・ケイン、がそうだ。相手の急所を突く彼らのスルーパスは絶品であり、メッシは24本でリーグ・アントップ、A・アーノルドは20本、ケインは19本でプレミア1位2位の好成績を残している。

強力な攻撃に対抗するために守備組織が変化し、それに伴って攻撃方法も違いを見せている。スルーパスの減少はまさにその影響を受けており、同紙では絶滅の危機に瀕していると語っている。それでもトレンドのサイクルは回っており、再びスルーパスが注目される時代がやってくるのだろうか。

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