「ハリルホジッチは悪い人ではない」 再び襲った悲劇の解任にモロッコの選手は

モロッコ代表を離れるハリルホジッチ photo/Getty Images

日本代表に続いて2大会連続のW杯前解任劇

2大会続けてこのような形で注目を集めるのも珍しいだろう。11日、モロッコ代表は指揮官ヴァイッド・ハリルホジッチの解任を決断したのだ。

ハリルホジッチといえば、日本代表でも指揮官を務めた人物だ。今回のモロッコと同様に予選を勝ち抜いてワールドカップ出場権を勝ち取ったところまでは良かったが、日本代表でもワールドカップ前に解任されてしまった。モロッコでも同じことが起き、2大会続けて似たような時期に代表監督を退くことになった。

モロッコ代表ではMFハキム・ツィエク、DFノゼア・マズラウィといった同国のスタープレイヤーとの確執が以前から噂されており、中でもツィエクは現モロッコ代表の看板選手だ。ツィエクのワールドカップ出場を望むサポーターも多く、最終的にモロッコサッカー協会は意見の相違を理由にハリルホジッチ解任を決断した。

英『Evening Standard』はこの発表を受けて日本代表でのことも振り返っており、「彼はロシア大会の2か月前にコミュニケーションの問題から選手の信頼を失ったとの理由で、日本代表監督を解任されている」と取り上げている。成績不振だけが理由ではないのは共通点か。実際にモロッコ代表での成績は通算30試合で20勝7分3敗と決して悪くない。

選手の反応も様々ではある。オランダのNECナイメヘンでプレイするモロッコ代表MFウサマ・タンナーヌはハリルホジッチ解任について「監督が解任されたのは僕にとってまったく好ましいことではないね。僕は彼の中に何があるか知っていたし、良い関係も築いていた。彼は悪い人ではないよ」と述べている(オランダ『Voetbalzone』より)。

独特な哲学を持った指揮官であることは間違いないだろう。日本代表でも思い切った選手起用をしていたが、モロッコ代表でもDFソフィアン・アラクシュ、MFイムラン・ルーザ、MFイリアス・シャイル、DFソフィアン・チャクラ、DFアダム・マジーナ、FWザカリア・アブカウ、DFサミー・ムマエ、FWタリク・ティソウダリらを続々とデビューさせており、彼らは昨年のアフリカ・ネイションズカップにも招集している。その一方で、ツィエクはこの大会にも招集しなかった。

ハリルホジッチは2014年のブラジル大会でアルジェリア代表をベスト16まで導いた実績があり、おそらくはモロッコ代表でも何か秘策を練っていたのだろう。なかなか手の内を明かさないタイプの指揮官でもある。それは日本代表でも同じだったのだろうが、秘策を披露することもなく日本代表とモロッコ代表での仕事は終わってしまった。

一部の選手から好意的な意見が出ている点も似ているが、ハリルホジッチにとっては残念な終わり方だ。頑固すぎるところもあるのだろうが、解任を決断したモロッコはカタールの地で成功を掴めるのか。

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