[西岡明彦]チェルシーは前進できるのか? わずか100試合でのトゥヘル解任劇

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 チェルシーのトーマス・トゥヘル監督が今月7日に解任されました。当初は前夜にチャンピオンズリーグのグループステージ第1節ディナモ・ザグレブ戦に0-1で敗退したのが原因と見られていましたが、その結果に関わらず既に指揮官交代は決断されていただろうと現地メディアは報じています。

 トゥヘル退任を発表したクラブの公式声明には、「チャンピオンズリーグ、スーパーカップ、クラブワールドカップを制したトゥヘル監督は、クラブの歴史に名を刻むことになるでしょう。クラブを引き継いでから100試合が経過した新オーナーグループは、クラブを前進させるために懸命な努力を続けており、この時期の移行が適切なタイミングであると判断しました」と記されていました。

 ロマン・アブラモビッチが去り、ベーリー&クリアレイク・キャピタル・グループが新たなオーナー陣になって以降、上層部の人材の刷新が続いています。6月には長年ダイレクターを務めていたマリナ・グラノフスカヤとテクニカル&パフォーマンス・アドバイザーとして尽力していた元GKのペトル・チェフが退任。また夏の移籍市場が閉じた翌日の今月2日には、11年に渡って国際スカウト部門の責任者を務めていたスコット・マクラクランもクラブを去ることになりました。クラブ改革はトップチームの監督交代も視野にあったものと考えます。チェアマンのトッド・ベーリーが監督交代を決断した背景には、チームの低調なパフォーマンスと同時にトゥヘル自身が求心力を失った要因があるとも見られています。先月14日のトッテナム戦でアントニオ・コンテ監督と衝突し1試合のベンチ入り禁止処分と罰金を課せられた上、アントニオ・テイラー主審に対しても不適切な発言を行い警告と罰金処分を受けた行為を、フロントは問題視していました。また、30日のサウサンプトン戦(1- 2)試合後の監督インタビューでは「ソフト、ソフト、ソフト」と、選手たちのプレイが軽かったことを非難、選手たちと亀裂が生じる原因となっていました。
 ピッチ外では、今年5月に13年間連れ添った妻シッシさんとの離婚が成立しましたが、新しいガールフレンドであるブラジル人のナタリー・マックスさんとのデートが度々西ロンドンで目撃されていることも、クラブ内で信頼を失ったことに繋がっているのではないかと見られています。

 トゥヘル解任発表からわずか1日、ブライトンを率いていたグレアム・ポッターを新監督に迎えることが発表されました。ポッターとともに4人のコーチングスタッフも移籍、チェルシーは2,100万ポンドの補償金をブライトンに支払って契約締結にこぎつけました。今季が開幕して公式戦わずか7試合での決断、クラブが前進することを願っています。

文/西岡明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)273号、9月15日配信の記事より転載

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