ペップは「時代と逆行したもの」を要求している? 有識者は“タッチ数の多さ”を批判、グリーリッシュに“速さ”を求める

批判の対象にされることが多いジャック・グリーリッシュ photo/Getty images

互いに要求しているものが違うようだ

昨季の夏の移籍市場でマンチェスター・シティに加わったジャック・グリーリッシュ。移籍金は1億ポンドと非常に高額であり、さらにセルヒオ・アグエロが背負っていた10番を与えられる好待遇でシティに加入した。しかし初年度はリーグ戦3ゴール3アシストに終わってしまい、たびたび批判にさらされている。

そんなグリーリッシュが退団を希望するといった報道が英『Football Insider』から発表された。親しい友人に2023年にシティを退団する予定だと伝えたとされており、一気に広まった。しかし英『90min』はそれを否定。グリーリッシュはクラブを愛しており、パフォーマンス向上に意欲的な姿勢を見せているという。

この件の真相は分からないが、シティの指揮官であるジョゼップ・グアルディオラがグリーリッシュのパフォーマンスに満足しているのは事実だ。実際にグリーリッシュがゴールを決めて勝利したウルブズ戦後には「彼のことはよく知っているし、彼のやっていることに満足している」とグリーリッシュを称賛する発言を英『Daily Mail』に残している。

現役時代はトッテナムやリヴァプール、サンプドリア、レンジャーズなどでプレイした元スコットランド代表のグレアム・スーネス氏はたびたびメディアでグリーリッシュへの批判を行っている。

「彼は良いフットボーラーだが、素晴らしい選手ではない」

「ヴィラでの日々を振り返ると、2年間彼はプレミアで最もファウルされた選手だった。それは2つの意味で捉えている。最もファウルの多い選手はタッチ数が多すぎる。タッチ数が多いのは状況を把握できていないからだ」

「当時ヨーロッパでもトップクラスの選手が所属していたリヴァプールという世界最高のクラブ行ったからこそ、私は上達できたんだ。毎日より速く考え、速くボールを動かすことを求められ、すべてがより速いテンポで進んでいった。幸いなことに私はかなり早い段階でそれを理解することができた。ジャックもそうなると思っていたが、まだそうなっていない。それができれば、数年前、ヴィラで見たグリーリッシュを見ることができる」

スーネス氏は自身の体験とグリーリッシュの現状を比較し、タッチ数の多さを根拠に批判している。すべてがより速いテンポで進んでいた当時のリヴァプールと比べた場合、今のグリーリッシュは遅く感じてしまうのだろう。

だが、実際にグアルディオラがグリーリッシュに求めているのは“速さ”ではない。プレイを意図的に遅らせる「パウサ」がグリーリッシュの強みだと以前ペップは話しており、英『Daily Mail』では「我々は素晴らしいゴールやアシストのために彼と契約したわけではない」ともコメントしている。もちろん試合の勝利に直結するゴールやアシストは重要だが、攻撃を一時的に遅らせる動き、オフザボールの質、守備での献身性と褒めるべきポイントはいくらでもある。攻撃を意図的に遅らせるプレイの強みはオープンな展開になることを防ぐためであり、今季リーグ戦で最多失点を記録したニューカッスル戦を見返せば分かりやすい。このゲームではグリーリッシュが負傷で不在となり、フィル・フォーデン、アーリング・ハーランド、ベルナルド・シウバの3トップとなったが、縦に急ぎすぎてしまい何度もアラン・サン・マクシマンを中心としたカウンターを食らってしまった。シティの弱点は快足を生かしたアタッカーのカウンターであり、グリーリッシュはその対抗策だと考えられる。

得点関与数の少なさから批判の対象となっているグリーリッシュ。英『The Guardian』でのインタビューでは「自分が何をできるか知っている」と話しており、今後その批判を跳ね返す活躍を見せてくれるだろう。

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