サウスゲイトはシステムを適切に選べているか 3バックでも4バックでもまったく点が取れないイングランド

批判にさらされるサウスゲイト監督 photo/Getty Images

機能しなかった3バックに批判噴出

UEFAネーションズリーグでイタリア代表に1-0と敗れ、未だグループでの勝ち星がないイングランド代表。グループBへの降格が確定し、ガレス・サウスゲイト監督の采配が批判にさらされている。

この試合、サウスゲイトは[3-4-3]を採用。3バックは左からハリー・マグワイア、エリック・ダイアー、カイル・ウォーカーの並びとなり、中盤にデクラン・ライスとジュード・ベリンガム、ウイングバックとして左にブカヨ・サカ、右にリース・ジェイムズという布陣を敷いた。

しかし、[3-5-2]のイタリアに対し中盤で数的不利に陥ると、ビルドアップが停滞。対面のマークにあった両WBのサカとジェイムズは終始やりづらそうにしており、ケインらの前線にボールを届けることができなかった。特にサカは中盤の位置でありながらタッチ数27とボールに絡めておらず、普段アーセナルで見せるような小気味良いドリブルを発揮する場もない。左CBのハリー・マグワイアとの連携にも疑問を感じざるを得ない出来であった。

しかしながらサカとウォーカーに代えてジャック・グリーリッシュ、ルーク・ショーを投入し、4バックにシステム変更を行ってからはチャンスが増加。4つの枠内シュートのうち3つが、この交替後に生まれている。もともとイングランド代表は3バックと4バックを併用するチームで、ここ数試合は4バックで戦っていた。この方が選手たちにとっても馴染みがあったのかもしれないが、システムの噛み合わせを修正し、サイドで数的優位を作れるようになったことが大きいと考えられる。

『The Mirror』は、サウスゲイトはこのバックスリー戦術を放棄することはないとし、監督のコメントを紹介しながら3バックシステムを変える気はないようだと批判している。サウスゲイト監督は以下のように話している。

「フォーメーションが問題とは思わない。もちろんオープンマインドでいる必要はあるが、私たちはこのポジションに熟練しているから、今後数ヵ月で最高のチャンスが訪れるはずだ。もし怪我があったとしても、システムを変えて最初から作り直すつもりはない」

「こう言えば批判されるのはわかっているが、イタリアに対してうまくいったと思う。よいプレイをするDFはバックスリーでプレイしていると思うし、イタリアが得点したあと我々は4バックになったが、3バックでも4バックでも我々は危険だった」

うまくいっていたかはさておき、サウスゲイト監督が言いたいのは、我々は3バックでも4バックでも戦えるチームなのだということだろう。

しかしそうなると気になるのは、監督はシステムを適切に選べているのだろうかという点だ。今回は明らかに噛み合わせが悪く、修正に時間を要した。では4バックで勝てているかといえばそうではなく、ハンガリー戦ではボールを支配しきれずカウンターを食らい、結果4失点の大敗を喫している。グループ3での得点は、未だにドイツ戦で記録したケインのPK1点のみだ。

『The Mirror』では「採用するように求められたシステムによって、イングランドは力を抑えられているように見えた」と報じられているが、問題は3バックか4バックかということではなく、監督の判断の方なのかもしれない。プレミアリーグ最高峰の選手たちを揃えるイングランドだが、少なくとも今のところ力を発揮しているように思えないのは確かだ。

(※データは『Whoscored.com』より)

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