暫定監督から名将へ 4年前ボロボロだったアルゼンチン代表を“堅守軍団”に変えたスカローニの評価

アルゼンチン代表を指揮するスカローニ photo/Getty Images

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優勝候補としてカタールへ乗り込む

4年前のワールドカップ・ロシア大会を戦ったアルゼンチン代表を覚えているだろうか。ホルヘ・サンパオリに率いられたチームはグループステージでクロアチア代表に0-3のスコアで敗れるなど、強豪らしからぬ戦いぶりだった。

最終戦のナイジェリア代表戦を何とか制してベスト16へ駒を進めたが、ベスト16では優勝したフランス代表に3-4で敗北。スコアは1点差の面白いゲームではあったが、大会を通して守備が崩壊していた印象だった。

当時のメンバーにはベテランのハビエル・マスチェラーノ、マルコス・ロホ、ガブリエウ・メルカド、フェデリコ・ファシオといった経験豊富なDFが招集されていたが、あれから4年で守備陣の顔ぶれはガラリと変わった。
新たに守備を編成したのは、サンパオリ解任後に暫定監督としてチームを託されたリオネル・スカローニだ。

現役時代はそこまで目立つ存在ではなく、アルゼンチン代表でも7試合しか経験がない。当初はスカローニのことを知らない人も多かっただろう。しかし気付けば4年の時が経ち、スカローニは昨夏のコパ・アメリカを制するなど大成功。契約は2026年まで延長されており、1998年から2004年まで指揮したマルセロ・ビエルサ政権を超える長期政権となる可能性がある。暫定監督の立場から1500日以上アルゼンチン代表を指揮することになるとは、当初は誰も予想していなかったかもしれない。

今では35戦連続無敗と安定感抜群のチームに仕上げ、カタール大会でも優勝候補の一角に挙げられる。最大の功績はロシア大会でボロボロだった守備を立て直したところにあり、若いDFを積極的に招集してきた。

特に大きかったのは昨年の1年間で、スカローニはこの1年でアストン・ヴィラGKエミリアーノ・マルティネス、トッテナムDFクリスティアン・ロメロ、アトレティコ・マドリードDFナウエル・モリーナらを続々とデビューさせ、彼らの成長が堅守の軸となった。

今月の代表戦ではウディネーゼ所属の22歳DFネウエン・ペレスもデビューさせており、ベテランのニコラス・オタメンディ(34)やマンチェスター・ユナイテッド移籍で注目を集めるリサンドロ・マルティネス(24)らと合わせ守備の層は厚くなってきている。

中盤ではベンフィカ所属のエンソ・フェルナンデス(21)、前線ではアトランタ・ユナイテッド所属のFWティアゴ・アルマダ(21)も今月デビューさせ、ブライトンで奮闘する23歳のMFアレクシス・マック・アリスターも今年3月より継続的に招集するなど若手育成もきっちりと進めている。

アリスターはまだ欧州では無名だった2019年にスカローニが20歳の若さでA代表デビューさせており、3年後にブライトンで注目を集める存在になった。このあたりの目利きも優れているということだろうか。

派手な攻撃陣で相手を圧倒するのではなく、堅実な守備をベースにチームを仕上げてきたスカローニ。この4年間の仕事は見事と言うしかなく、ワールドカップ制覇なんて達成すれば名将との呼び声も出てくるはずだ。44歳の青年指揮官がカタール大会本番でどんな采配を見せるのか。絶対的リーダーのリオネル・メッシとともに頂点を目指す戦いが始まる。

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