トレンドは“両サイドでプレイ”できるSB? プレミアTOP2の指揮官が重宝するユーティリティプレイヤー

リヴァプール戦では左サイドバックとしてピッチに立った冨安健洋 photo/Getty images

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複数のポジションをこなせることが強みとなる

ボローニャ時代はセンターバックとしてプレイし、アーセナルでは主に右サイドバックとして起用されている冨安健洋。3-2と勝利したリヴァプール戦では右ではなく左サイドバックで先発し、対峙するモハメド・サラーを完封している。

冨安は守備の強度とビルドアップでの貢献を両立する現代的なDFであり、とくに前述したようなユーティリティ性を強みとして持っている。最終ラインであればどのポジションでもプレイでき、クオリティも高い。各リーグの上位クラブは週末にリーグ戦、ミッドウィークにCLやELとこなす試合数が多い。そのためか今季のリヴァプールのようにチーム内で怪我人が続出することを想定しておく必要があり、そうなった際には冨安のようなユーティリティプレイヤーは重宝されることになる。

今季アーセナルと共にプレミアで上位を走るマンチェスター・シティにも両サイドをこなせるSBがいる。ジョアン・カンセロのことだ。
ユヴェントスから加入後右SBとしてプレイしていたが、左SBが手薄なこともあって今では左でプレイすることが多い。シティはSBの頭数が他クラブよりも少なく、万全の状態でもカイル・ウォーカー、カンセロ、セルヒオ・ゴメスの3人しかいない。今夏マルク・ククレジャ獲得に動いたが、高額な移籍金を払うことを拒み、手を引いた。

3人と少数精鋭で長いシーズンを戦い抜けるのは間違いなく、カンセロの存在が大きい。守備力には難ありだが、攻撃力はピカイチであり、両サイドで高いクオリティを発揮する。ウイングのような突破力とチャンスメイクが魅力で、何より離脱することが少なくシーズンを通して計算できる。

冨安とカンセロは右利きの選手だが、左サイドでも違和感なくプレイする。冨安の場合は逆足でも利き足と同じ精度のパスを供給できるからだ。カンセロも逆足である左で違和感なくボールを蹴れるが、ポルトガル代表DFの場合は利き足である右のアウトサイドで高精度のパスを出せる。クロスにスルーパスと球種も豊富であり、左サイドでも自由にプレイする。

志向するスタイルが似ている監督だからなのか、とくに最終ラインの選手はユーティリティ性が求められる。アーセナルであればベン・ホワイトが、シティではルベン・ディアス以外の4人のCBがSBで起用されたことがある。冨安とカンセロは両サイドバックをハイレベルでこなすことができ、チーム内での重要度も高い。冨安は怪我での離脱が不安要素だが、今季は慎重に起用しているからかまだ一度も離脱していない。複数ポジションをこなせる多様性を求められる時代になっており、2つのサイドをこなせる両サイドバックがこれからのトレンドなのかもしれない。

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