[西岡明彦]アーセナル復活の鍵を握るウィリアム・サリバ

プレミア最強ガイド #95

今季アーセナルに帰還し、格別のパフォーマンスを見せているウィリアム・サリバ photo/Getty Images

 開幕ダッシュに成功し、プレミアリーグ首位を快走しているアーセナル。アーセン・ヴェンゲル監督の時代から受け継がれている華麗なパスワークに重点を置く攻撃的なスタイルが、4季目を迎えたミケル・アルテタ現体制で進化を遂げています。その中で近年の課題となっていた守備陣の安定が結果に直結、攻守のバランスを支えています。

 ここまでリーグ戦全試合でフルタイム出場、当初の予想以上に貢献しているのがDFウイリアム・サリバです。実はこのフランス出身の21歳ですが、開幕前はここまで期待されている選手ではありませんでした。

 今夏、サリバに興味を持つクラブは複数ありました。ミランは早い段階で獲得リストの上位にリストアップ、フランス代表DFジュール・クンデ(セビージャ)の獲得競争に参入したバルセロナは、破談した場合の2番手としてオファーの準備を進めていました。一方のサリバは2019年夏にアーセナルに加入したものの、サンテティエンヌ、ニース、マルセイユに3季連続して期限付き移籍。プレミアリーグでの実績が乏しいことも影響し、クラブ内の編成会議でも評価が分かれていました。その後、クンデは競合するチェルシーに断りを入れバルセロナ入りを決断、紆余曲折を経てサリバの1年半ぶりのアーセナル復帰が決まったのでした。

 ここまでサリバは、ブラジル代表DFガブリエウとコンビを組む最終ラインで9試合で10失点と安定、評価を高めています。今月に入り、クラブが2024年までの現行契約の更新交渉を開始したことが明らかとなりました。3度ローンに出された屈辱が交渉に影響するのではと問われた指揮官は「もちろん昔はダメージを受けたこともあったと思う。しかし今の彼はアーセナルでプレイすることに集中してくれている。今後もここに居てくれるはずだ」と、期待しています。

 先月行われたネイションズリーグのデンマーク戦で先発出場するなど、フランス代表の将来を期待されているサリバ。無事、契約更新交渉がまとまり、モチベーション高くプレイを続けてくれることが、アーセナル復権の鍵を握るかも知れません。

文/西岡 明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)274号、10月15日配信の記事より転載

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