グリーリッシュがいればリヴァプール戦の結果は変わっていた? なぜか起用されなかった1億ポンド男

リヴァプール戦ではベンチから出ることはなかったジャック・グリーリッシュ photo/Getty images

リーグ初黒星を喫したシティ

今となっては話題にも挙がっていないが、シティの今夏の決断は注目を集めた。それは過去数年チームを支えた主力の売却があったからだ。具体的にはラヒーム・スターリング、ガブリエウ・ジェズス、オレクサンドル・ジンチェンコの3人を放出している。

とくに前線の変更は懐疑的な声が多かった。アーリング・ハーランドが来るからといって前線であればどのポジションでも起用できる実績のあるFWを売却するのは少なからず賭けだったといえる。しかも彼らは怪我が少なくシーズンを通して計算できる。今季は11月からワールドカップ・カタール大会が開催され、主力の疲労は例年の比ではない。

だが10月現在彼らの放出が大きくチームに影響していることはない。ジンチェンコの放出は意見が分かれるかも知れないが、スターリングとジェズスが抜けた穴はハーランドとフリアン・アルバレスが埋めている。

英『The Telegraph』では、シティがスターリングの売却を決断したのはジャック・グリーリッシュの存在が大きいと報じている。

目に見える得点やアシストであればスターリングに軍配が上がる。昨季はシティでリーグ戦30試合に出場し13ゴール5アシストを記録した。対するグリーリッシュは26試合で3ゴール3アシスト。大きな差がある。

だがピッチ内で分かる明確な差は彼らのスタイルだ。スターリングはよりスピーディに攻撃を仕掛ける。アタッキングサードでのアイデアや精度を欠くこともあるが、スピードでプレミアリーグの守備者を脅かす。グリーリッシュはスターリングと違いスピードは控えめで、どちらかといえば遅い。スピードは並で、瞬発力で相手を振り切れない場面が散見される。

シティはこの遅さを重宝しているといえる。グリーリッシュは敵陣深い位置でのボールロストが非常に少ない選手で、最も自陣ゴールから遠い場所でボールを落ち着かせることができる。スターリングにはこれができない。

シティは相手を押し込んでゴールを奪うスタイルを持っており、この戦い方の弱点はカウンターだ。相手を押し込むとなればチームは前傾姿勢で戦うことになる。そうなれば自陣には広いスペースが生まれ、簡単にカバーできない。だが敵陣で相手をピン止めすることができれば多少のカウンター対策になるだろう。

1-0で破れたリヴァプール戦では敵陣でボールを落ち着かせることができなかった。そのため何度もカウンターを受けており、エデルソン・モラレスの活躍がなければ失点数はさらに増えていたはずだ。リヴァプール戦のようなゲームではグリーリッシュが適役といえるが、ペップが左サイドで指名したのはフィル・フォーデンだった。攻撃時は[3-4-3]となり左サイドには利き足がそのサイドと同じ選手を置きたかったといえるが、それではグリーリッシュを獲得した意味がない。ビルドアップは3バックとなっており、ビッグマッチでの奇策癖が出てしまったか。

今季はより価値を高めたいグリーリッシュ。リヴァプール戦では出番がなかったが、次の出場はいつになるのだろうか。

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