VARがあればイングランド黄金世代は優勝できた? EURO2004で悔やまれる幻のゴール

キャンベルがネットを揺らしたが…… photo/Getty Images

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ポルトガルに勝てば優勝できたのか

デイビッド・ベッカム、ポール・スコールズ、フランク・ランパード、スティーブン・ジェラード、リオ・ファーディナンド、ジョン・テリー、ソル・キャンベル、アシュリー・コール、ウェイン・ルーニー、マイケル・オーウェンなどタレントを挙げればキリがないが、2000年代のイングランド代表は黄金世代と呼ばれた。

世代的にEURO2004、2006年のワールドカップはタイトルを獲るチャンスだったと言えるが、その前に立ちはだかったのがポルトガル代表だ。イングランド黄金世代はポルトガルと縁があり、EURO2004とワールドカップの両方で顔を合わせ、どちらもポルトガルがPK戦の末に勝利を収めている。ルーニー退場問題で揺れるなど、イングランドにとって当時のポルトガルは悪夢と言える相手だった。

EURO2004ではベスト8で顔を合わせたのだが、当時チームを指揮していたスヴェン・ゴラン・エリクソンは現在サッカー界で使用されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)があればイングランドが勝っていたと主張する。
エリクソンが主張しているのは、1-1で迎えた終盤のフリーキックだ。ベッカムの蹴ったボールにキャンベルが頭で合わせると、そのシュートがバーを直撃。真上に上がったボールをもう一度キャンベルが頭で押し込んだのだが、主審はポルトガルのGKに対してDFジョン・テリーがチャージをかけたとしてイングランドの得点を認めなかった。その結果延長までもつれてPK戦の末に敗れるのだが、エリクソンは当時の判定に納得していない。

「VARがあればイングランドはポルトガルに勝っていたと思う。キャンベルのゴールが認められていればね。当時のEUROでどこが優勝したのか。ギリシャだ。それは大きなサプライズであり、我々はタイトルを獲れたと思う」(英『Daily Star』より)。

テリーとGKの接触が軽いものだったのは確かで、現在ならVARで審議の対象にはなるだろう。VARがどちらの味方になるかは分からないが、キャンベルのゴールが認められていた可能性もある。

その後ポルトガルはベスト4でオランダを撃破し、ファイナルでギリシャに敗れた。イングランドがヤープ・スタムやエドガー・ダビッツ、クラレンス・セードルフ、ルート・ファン・ニステルローイらを擁していたオランダに準決勝で勝てたかは分からないが、ポルトガルがファイナルに進んだことに思うところもあるだろう。ファイナルの相手がギリシャならば、自分たちが勝てたと思いたくなるのも頷ける。

VARの導入でサッカー界は大きく変わっているが、当時のイングランドはポルトガルに勝てれば優勝できたのだろうか。2010年のワールドカップ・南アフリカ大会ではドイツ戦にてランパードのゴールラインを割っていたように見えるループシュートがゴールと認められないなど、黄金世代は判定に泣かされたところもある。このEUROでのキャンベルのプレイも、エリクソンは納得していないようだ。

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