王者はいよいよ手がつけられなくなってきた。
9日、バイエルンはブンデスリーガ第14節でブレーメンをホームに迎えた。ブレーメンは昇格組ではあるものの、今季はドルトムントにも勝利を収めるなど油断ならない相手だ。
チームを指揮する34歳の青年指揮官オーレ・ヴェルナーも自信があるのか、このバイエルン戦でも積極的な仕掛けを見せた。2トップのオリバー・バーク、マルヴィン・ドゥクシュが高い位置からバイエルンの最終ラインに圧力をかけ、レオナルド・ビッテンコートがバイエルンの配球役であるジョシュア・キミッヒをピッタリとマークするなど、ブレーメンには前からバイエルンの攻撃を抑える狙いがあった。昇格組の中にはバイエルン相手に徹底的に引いて守りを固める策を取るチームも少なくないが、現在TOP10に入っているブレーメンは積極的だ。
前半6分にはバイエルンがMFジャマール・ムシアラの技ありゴールで先制するものの、引かないブレーメンはその4分後に右サイドでのスローインの流れから華麗に左サイドへ展開し、最後は空いたアントニー・ユングが左足で冷静なグラウンダーシュート。これがマヌエル・ノイアーのゴールを破り、ブレーメンはすぐさま同点に追いつくことに成功する。右サイドのミッチェル・ヴァイザーの個人技から左のユングへと展開したプレイは流れも美しく、落ち着いたフィニッシュも完璧だった。
しかし、やはり相手は現在リーグ戦5連勝中と波に乗る王者だ。ブレーメンの圧力に屈するバイエルンではなく、自慢のアタッカー陣が次々と高いブレーメン最終ラインの裏を急襲。最前線のエリック・マキシム・チュポ・モティングがターゲットマンとなりながら、ムシアラ、セルジュ・ニャブリ、負傷したサディオ・マネに代わって前半20分より入ったレロイ・サネら2列目のアタッカーたちがポジションを動かしながらブレーメンのペナルティエリアへと流れ込んでいく。
その成果はすぐに表れ、22分にはペナルティエリアでこぼれ球を拾ったニャブリが見事なコントロールショットで勝ち越し点を記録。
ここから王者は手がつけられなくなり、6分後にはボランチの位置からレオン・ゴレツカが相手最終ラインの背後を取り、GKとの1対1を冷静に沈めて3点目をゲット。
さらに2分後にはニャブリがこの日2点目を奪い、気付けば前半30分の段階でスコアは4-1と大差がついてしまった。ブレーメンもアウェイの地で王者を潰す野心を抱いていたはずだが、30分で決着はついてしまった。積極的に仕掛けたのは良かったが、ライン設定はややアグレッシブすぎたかもしれない。
その後は82分にニャブリがこの日3点目となるゴールを決め、86分には若手のマティス・テルもゴールを決めて6-1でバイエルンが圧勝。10月からはフライブルク(5-0)、マインツ(6-2)、そして今回のブレーメン戦と攻撃陣の爆発が目立っており、チュポ・モティングのセンターフォワード起用を含め新生・バイエルンの形が見えてきた。序盤は勝ち点を取りこぼすこともあったが、今の攻撃陣ならそうしたケースも減るだろう。さらなる連覇へ王者は目覚めつつある。
[スコア]
バイエルン 6-1 ブレーメン
[得点者]
バイエルン:ムシアラ(6)、ニャブリ(22、28、82)、ゴレツカ(26)、テル(84)
ブレーメン:ユング(10)
[スタメン]
バイエルン
GK:マヌエル・ノイアー
DFノゼア・マズラウィ、バンジャマン・パヴァール、ダヨ・ウパメカノ、リュカ・エルナンデス(→ザビッツァー /57分)
MF:レオン・ゴレツカ(→グラフェンベルフ/71分)、ジョシュア・キミッヒ
FW:セルジュ・ニャブリ、ジャマール・ムシアラ(→テル/71分)、サディオ・マネ(→サネ/20分)、エリック・マキシム・チュポ・モティング(→コマン/57分)
ブレーメン
GK:ジリ・パブレンカ
DF:アモス・ピーパー、ミロス・ベリコビッチ(→シュタルク/46分)、マルコ・フリードル
MF:アントニー・ユング、ミッチェル・ヴァイザー、クリスティアン・グロス(→ラップ/88分)、イリア・グルエフ(→ステージ/59分)、レオナルド・ビッテンコート(→シュミット/62分)
FW:オリバー・バーク(→ディンチ59分)、マーヴィン・ドゥクシュ