ワールドクラスの“超万能MF”なのに…… ベルギー黄金世代の問題児の悲しき現在

ローマで長くプレイしたナインゴラン photo/Getty Images

本来なら今年のW杯も目指せた

エデン・アザール、ロメル・ルカク、ケビン・デ・ブライネ、アクセル・ヴィツェルらベルギー黄金世代は特別な才能を持つワールドクラスのプレイヤーが集まっており、2010年代に入ってからは世界的に注目を集めてきた。

30代に入ってもベルギー代表の主力を務めている者も多いが、その輪の中に入れない選手もいる。34歳を迎えたMFラジャ・ナインゴランだ。

ローマ、インテルなどセリエAで活躍してきたナインゴランも、全盛期はワールドクラスのセントラルMFだったと言える。豊富な運動量、攻守にファイトできる献身性、高精度のミドルシュートも備えており、弱点の少ないMFだ。同じ時代にセリエAでプレイした選手では、ユヴェントスで活躍したチリ代表チリ代表MFアルトゥーロ・ビダルにも近い印象がある。

ただ、ナインゴランは規律の面で問題を抱えた選手でもあった。若い頃より喫煙している姿を写真に撮られたり、トレーニングに遅刻するなど真面目なタイプの選手ではない。その奔放さはベテランになった今も変わらず、今年10月には所属するアントワープにて試合前にベンチで電子タバコを吸っていたとして無期限追放の処分まで受けている。チームが国内リーグ2位と良い状態にあっただけに、実に残念な話題だ。

仏『Foot Mercato』は素行面の問題を踏まえナインゴランを獲得したアントワープの判断は誤りだったと指摘しており、34歳になった今も落ち着かない。

10日にはワールドカップ・カタール大会へ臨むベルギー代表メンバーが発表されたが、そこにナインゴランの名前はない。世代の近いDFトビー・アルデルヴァイレルトやヤン・フェルトンゲンといったベテラン選手も招集されていることを考えると、ナインゴランもカタール大会を目指せただろう。

しかし代表でも指揮官ロベルト・マルティネスがナインゴランの素行面を問題視していたこともあり、思うように出番が増えず。最終的にナインゴランは2018年に代表から退いており、こちらももったいない終わり方ではあった。

その才能はベルギー黄金世代の一員にふさわしいものがあり、ヴィツェルやムサ・デンベレといった選手たちともポジションを争えた。それこそ真面目にサッカーと向き合っていればさらに上のレベルを目指せた可能性もあり、世界的な万能MFとして力を100%発揮できなかったのは残念だ。

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