[特集/カタールW杯GS展望 GROUP H]その睥睨は“最下位”からも ポルトガル撃破を狙う3国の圧力

大黒柱に新進気鋭の若手たち ポルトガルは首位通過濃厚

大黒柱に新進気鋭の若手たち ポルトガルは首位通過濃厚

チームでは圧倒的な存在感を示すC・ロナウド。前回大会でも初戦でハットトリックを決めたように、大舞台でこそ彼の強さが発揮される photo/Getty Images

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グループHはポルトガルが軸になる。首位通過の本命とみて間違いないだろう。

大黒柱のクリスティアーノ・ロナウドがマンチェスター・ユナイテッドで十分な出場機会を得られていないとはいえ、代表での存在感は揺るがない。たとえエースの衰えが確かだとしても、ラファエル・レオン(23歳)やヌーノ・メンデス(20歳)、ヴィティーニャ(22歳)など、若い才能も充実している。

システムは[4-3-3]がベース。C・ロナウドを頂点として、どこからでも仕掛けられる陣容だ。
しかし、欧州予選ではセルビアに次ぐ2位となり、プレイオフの末に本大会行きになった。

それでも高いところに目標があるポルトガルは、しっかりとGSを抜けたいところ。初戦の相手はグループ最弱と目されるガーナで、白星発進を飾れれば問題ないだろう。油断は禁物だが、それ以外に大きな不安がないのも確かだ。

2位争いは初戦で決まる? ウルグアイと韓国の大一番

2位争いは初戦で決まる? ウルグアイと韓国の大一番

ウルグアイのエースは衰えも気になるところ。スアレスのゴール数が増えることでチームの成績も上昇していくはずだ photo/Getty Images

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それはFIFAランキングで14位のウルグアイの脅威がやや薄れているからでもある。

南米予選を3位で突破したウルグアイだが、ブラジル、アルゼンチンとは大きな差がある。それに加えて、ルイス・スアレスは予選が始まったときに比べて明らかな衰えが感じられるのも不安要素だ。南米に戻った今季はコンスタントにゴールを挙げているとしても、アトレティコ・マドリード退団前のパフォーマンスは全盛期に遠く及ばないレベルになっていたことは心配だ。

それでも、同じくベテランのエディンソン・カバーニはクラブで好調。フェデリコ・バルベルデ、ダルウィン・ヌニェスといった若手が活躍すれば、躍進の可能性もあるだろう。

そのカギを握るのが韓国と対戦する初戦だ。初戦でしっかり勝てれば、ベスト16進出の可能性がかなり高くなる。

ウルグアイから2位の座を奪いたいのか韓国だ。

FIFAランキング28位の韓国は、主将のソン・フンミンが大会に間に合わないおそれがある。それでも、ナポリで大活躍中のDFキム・ミンジェなど欧州で活躍する選手もおり、波乱を起こすポテンシャルはありそうだ。

パウロ・ベント監督率いるチームは、本番で躍進することを視野に入れている。アジア最終予選10試合で失点はわずか「3」。これは同予選の最少失点だ。どこかで格上を倒さなければいけないアジア勢から見たW杯において、堅い守備は不可欠。得点力に課題はあるが、最近の試合ではセットプレイからゴールネットを揺らしている。これも格上撃破には大事な要素になり得るはずだ。

日程的にそのカギになるのが、やはり初戦のウルグアイ戦。ここで引き分け以上なら、十分に韓国にチャンスが出てくる。

第2戦ガーナ戦は、GS突破のために必ず勝ち点3が必要な一戦。最終戦のポルトガルは明らかに格上だが、すでに2連勝で突破を確実にしているケースも想像できるだけに、メンバーを落としてくる可能性があるだろう。そのような理想的な展開になるとは限らないとしても、あり得ないストーリーではない。

一番下から狙う頂点 ガーナが大波乱を起こす

一番下から狙う頂点 ガーナが大波乱を起こす

ギャンはローマのアカデミーで育ち、今季はセリエA昇格組のクレモネーゼでプレイ。台風の目になるには彼のゴールが必要だ photo/Getty Images

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前評判でかなり厳しいとみられているのがガーナだ。FIFAランキングは出場国の中で最下位。開催国カタールよりも下の61位だ。

ただ、対戦する各国は、そこまで楽に勝てる相手とは考えていないはずだ。

アフリカの強豪ナイジェリアを下して本大会行きを決めたことは波乱を起こす可能性があることの証明。トーマス・パルティ、イニャキ・ウィリアムス、アイェウ兄弟といった実力者がおり、19歳のフェリックス・アフェナ・ギャンなど、有望な若手もいる。決勝トーナメントに進出した2006年、2010年大会ほどのインパクトはないとしても、再び力をつけてきた。

W杯行きを懸けたナイジェリアとの2試合で先発したアフェナ・ギャンは、アフリカ人選手の中でも爆発力があるタイプのFWで、一発を狙うには打ってつけ。守備的MFを務めるであろうパーティとイドリス・ババが機能すれば、チャンスは出てくる。

ただ、日程的にはなかなかタフな戦いだ。ガーナが波乱を起こすためには、第2戦の韓国戦で勝つことが最低条件になりそうだ。初戦の相手はグループ最強と目されるポルトガルで、ここは相手の油断などがなければ勝ち点を得るのは難しい。第3戦ウルグアイ戦も、相手が消化試合になっている可能性が低いと考えるとハードな挑戦になりそうだ。

とはいえ、ランキング最下位のガーナは、どこが相手でもチャレンジャーの立場。初戦でポルトガル相手に勝ち点1以上を取って勢いづくと、台風の目にもなりかねない。

文/伊藤 敬佑

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)275号、11月15日配信の記事より転載

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