[W杯マッチ11]堂安、浅野弾でドイツに歴史的な大逆転勝利!! カリファ・スタジアムを揺らしたサムライたちが最高のスタート

まさにチーム一丸となった勝利。日本がW杯で逆転勝利を収めたのは初めての事例となった photo/Getty Images

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PKで失点も、このままでは終わらないという雰囲気があった

MATCH 11 グループE 第1節 
2022年11月23日 16:00キックオフ(会場:カリファ・スタジアム)
ドイツ 1-2 日本

W杯に限らず、数試合を戦うビッグイベントでは初戦が大事で、なおかつ“入り方”はより重要となる。過去4回の優勝を誇るサッカー強国ドイツが相手であっても慎重になりすぎず、これまで積み重ねてきた積極的かつ強度の高いプレイを各選手が連動してみせる。準備段階から日本にはこうした共通意識がチーム全体にあった。

欧州で経験を積む選手が多いいまの日本は大舞台でも高い集中力を発揮し、立ち上がりから積極的にハードワークして、ボールキープを許すもののチャンスを作らせなかった。8分には鎌田大地が中盤でボール奪取に成功し、カウンターを発動。伊東純也→前田大然とつないでゴールネットを揺らしたが、これはオフサイドでノーゴールとなった。
しかし、相手は手練れのドイツである。20分にジョシュア・キミッヒ、28分、29分にイルカイ・ギュンドアンに強烈なシュートを許し、ジワジワとプレッシャーがかかっていく。組織的な守備が綻んだのは31分で、攻撃参加したダビド・ラウムをゴール前で完全にフリーにしてしまう。飛び出したGK権田修一が倒してPKを献上し、ギュンドアンに決められて1点を追いかける展開となった。

ただ、前半の日本は守る時間が長いなか、チャンスを作っていた。45+6分、久保建英が左サイドに展開し、長友佑都がゴール前にライナー性のボールを送る。前田がヘディングでうまく流してファーサイドを狙ったが、惜しくも枠内を外れた。0-1で前半を終えたが、このままでは終わらないという雰囲気を残してハーフタイムを迎えた。

日本に希望を与えたのは堂安の同点弾。この試合では交代選手たちが結果を出した photo/Getty Images

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カリファ・スタジアムは確かに揺れていた

森保一監督は素早く動き、久保に代えて冨安健洋を投入し、4バックから3バックへ変更して後半をスタート。57分には長友→三笘薫、前田→浅野拓磨という二枚替えで同点を目指した。さらに、堂安律、南野拓実を立て続けに送り出し、75分に5枚の交代枠を終える積極采配でチームに活力をもたらす。

すると、劇的なゴールは交代選手によって生まれた。三笘が左サイドでボールを持つと、特長を知った日本人サポーターから早くも歓声が上がる。タテに走った南野にボールが渡り、ゴール前に折り返される。マヌエル・ノイアーがクリアーしたボールを堂安が左足シュートで叩き込み、スタンドに最初の歓喜を呼んだ。

こうなると押せ押せとなり、83分に自陣FKから板倉滉がタテにフィードすると、浅野がニコ・シュロッターベックと競り合いになる。“足”に自信を持つ浅野はわずかに抜け出し、角度のない難しい位置から思い切り右足を振り抜く。ゴールネットが揺れた瞬間、カリファ国際スタジアムもたしかに揺れていた。そして、轟く地鳴りのような歓声に包まれた。

ドイツ1-2日本。難易度の高いミッションを日本は成し遂げた。

「大きな1勝ではあるが、これで終わりではない。一喜一憂せず次へ向けてしっかり準備しようと選手たちには声をかけた」(森保一監督)

「日本はみんなで戦うことができるチーム。一人一人は大きくないが、みんなの力で戦えることを証明した」(ビッグセーブでマンオブザマッチとなった権田修一)

 新しい景色を見るために──。日本はチーム一丸となり、最高のスタートを切った。
 

浅野は柔らかいトラップからニアをぶち抜き、世界に衝撃を与える決勝弾を叩き込んだ photo/Getty Images

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[スコア]
ドイツ 1-2 日本

[得点者]
ドイツ
33分 イルカイ・ギュンドアン(PK)

日本
75分 堂安律
83分 浅野拓磨

[ポゼッション]
ドイツ 65% 日本 24% 中立 11%

[シュート数]
ドイツ 25  日本 11 

[枠内シュート]
ドイツ 8  日本 3 

[イエローカード]
なし

[ラインナップ]
ドイツ
フォーメーション:[4–5-1]

監督:ハンジ・フリック

GK
マヌエル・ノイアー(バイエルン)

DF
アントニオ・リュディガー(レアル・マドリード/スペイン)
ダビド・ラウム(ライプツィヒ)
ニクラス・ズーレ(ドルトムント)
ニコ・シュロッターベック(ドルトムント)

MF
ジョシュア・キミッヒ(バイエルン)
セルジュ・ニャブリ(バイエルン)
トーマス・ミュラー(バイエルン)
ジャマル・ムシアラ(バイエルン)
イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ/イングランド)

FW
カイ・ハフェルツ(チェルシー/イングランド)

交代出場
67分 トーマス・ミュラー→ヨナス・ホフマン(ボルシアMG)
67分 イルカイ・ギュンドアン→レオン・ゴレツカ(バイエルン)
79分 ジャマル・ムシアラ→マリオ・ゲッツェ(フランクフルト)
79分 カイ・ハフェルツ→ニクラス・フュルクルク(ブレーメン)
90分 セルジュ・ニャブリ→ユスファ・ムココ(ドルトムント)


日本
フォーメーション:[4–5-1]

監督:森保 一

GK
12 権田 修一(清水エスパルス)

DF
長友佑都(FC東京)
吉田麻也(シャルケ/ドイツ)
板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)
酒井宏樹(浦和レッズ)

MF
遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)
田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)
久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)
伊東純也(スタッド・ランス/フランス)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)

FW
前田大然(セルティック/スコットランド)

交代出場
46分 久保建英→冨安健洋(アーセナル/イングランド)
57分 長友佑都→三笘薫(ブライトン/イングランド)
57分 前田大然→浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
71分 田中碧→堂安律(フライブルク/ドイツ)
75分 酒井宏樹→南野拓実(モナコ/フランス)

文/飯塚 健司(ザ・ワールド編集ディレクター)

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