[W杯マッチ25]たった1本の枠内シュートが日本ゴールを揺らす…… コスタリカに痛恨の敗戦でグループ突破に黄信号

前半から試合のペースを握るも、決定機を作れなかった日本 photo/Getty Images

5名のターンオーバーを敷くもプラン通りにはいかず

MATCH 25 グループE 第2節 
2022年11月27日 13:00キックオフ(会場:アフメド・ビン・アリ・スタジアム)
日本 0-1 コスタリカ

FIFAワールドカップ、グループE。歴史的なドイツ戦の勝利から中3日で迎えた一戦は、先発5名を入れ替えるターンオーバーで臨んだ。ラウンド16進出に向けて、勝利と敗戦はもちろん、引分けでも雲泥の差となるコスタリカ戦に向けて「(相手は)初戦の大敗によって強い気持ちで挑んでくるので覚悟して臨む」と語っていたのは森保一監督、「気を引き締めて臨まないといけない」と語っていたのは遠藤航である。

こうした意識がチーム全体に植え付けられていたが、W杯という大舞台ではプラン通りにいくことのほうが珍しい。エアコンが効いてるとはいえ13時キックオフで日差しがきつく、前半は両チームともに動き&判断の早さともにトップギアに入らない。[5-4-1]で守るコスタリカの守備組織に対してゆっくりパスをまわしてなんとか隙をうかがうが、効果的なビルドアップができない。前線の上田綺世、鎌田大地にボールが入ると厳しくチェックにくるコスタリカに対して、厚みのある攻撃がなかなか仕掛けられなかった。

しかし、だからといって焦れてバランスを崩したり、集中を欠いたりせず確実に試合を進めた。気を付けるべきはコスタリカが繰り出すカウンターだったが、左サイドのジョエル・キャンベルにボールが渡ったときに少し危険な香りが漂うものの決定的なピンチを迎えることなく前半を終えた。

日本は試合のペースを握りながらも、81分に先制点を許した photo/Getty Images

積極的なシステム変更もゴールは遠く

ドイツ戦と同じく、森保監督は後半頭から修正を加えた。上田→浅野拓磨、長友佑都→伊藤洋輝の2枚交代で守備時[3-4-2-1]、攻撃時[4-2-3-1]の可変システムへ。すると約30秒で浅野がポストとなって守田英正がシュートを放つなど、ゴールに迫る場面が増えていった。

62分には山根視来に変えて三笘薫を投入し、両サイドの攻撃力を強化。さらに67分に伊東純也をシャドーのポジションに入れ、これでもかと攻撃の手を打つ。70分には守田のタテパスが伊東に渡り、抜け出してGKと1対1になりかけた。しかし、ファウル覚悟のディフェンスにあってFKを獲得するにとどまり、ゴールが遠かった。

こうした展開では往々にしてワンチャンスを決められるもので、81分に一瞬の隙を突かれてケイセル・フレールに巧みな左足シュートを決められ、第1戦と同じく追いかける展開となった。ただ、反撃するに十分な時間があったドイツ戦と大きく違って、この日は残された時間が少なかった。

それでも、88分に三笘が左サイドを突破してチャンスを作る。PAにドリブルで仕掛け、ゴール前に折り返す。このボールに鎌田が合わせたが、決死のディフェンスにあって得点にはいたらない。リードを奪ったコスタリカは水を得た魚で、球際の争いで負けて跳ね返されてしまう。1点のビハインドを返せず、痛恨の敗戦となった。

「後半はボールを握りながらコントロールしていた。仕留めることができていればよかった」(試合後の森保監督)

2試合を終えて勝点3。第3戦の相手はスペインである。このあと時間差で行われるスペイン×ドイツがいかなる結果に終わろうとも、厳しい戦いが待ち受けている。森保監督は「もともと3戦を通じてグループステージ突破と考えている。また、次(スペイン戦)に勝つために全力を尽くす」と言葉を残した。

0-1の敗戦を喫し、肩を落とす日本代表メンバー photo/Getty Images

[スコア]
日本 0-1 コスタリカ

[得点者]
コスタリカ
81分 ケイセル・フレール

[ポゼッション]
日本 47% コスタリカ 38% 中立15%

[シュート数]
日本 14 コスタリカ 4

[枠内シュート]
日本 3 コスタリカ 1

[イエローカード]
日本 3枚
山根視来
板倉滉
遠藤航

コスタリカ 3枚
アンソニー・コントレラス
セルソ・ボルヘス
フランシスコ・カルボ

[レッドカード]
なし


[ラインナップ]
日本
フォーメーション:[4–5-1]

監督:森保一

GK
権田修一(清水エスパルス)

DF
山根視来(川崎フロンターレ)
板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)
長友佑都(FC東京)
吉田麻也(シャルケ/ドイツ)

MF
遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)
堂安律(フライブルク/ドイツ)
守田英正(スポルティングCP/ポルトガル)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
相馬勇紀(名古屋グランパス)

FW
上田綺世(サークル・ブルージュ/ベルギー)

交代出場
46分 長友佑都→伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)
46分 上田綺世→浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
62分 山根視来→三笘薫(ブライトン/イングランド)
67分 堂安律→伊東純也(スタッド・ランス/フランス)
82分 相馬勇紀→南野拓実(モナコ/フランス)

コスタリカ
フォーメーション:[3-6-1]

監督:ルイス・フェルナンド・スエレス

GK
ケイロル・ナバス(パリ・サンジェルマン/フランス)

DF
オスカル・ドゥアルテ(アル・ワフダ・メッカ/サウジアラビア)
フランシスコ・カルボ(コンヤスポル/トルコ)
ケンダル・ワストン(サプリサ)

MF
ケイセル・フレール(エレディアノ)
セルソ・ボルヘス(アラフエレンセ)
ブライアン・オビエド(レアル・ソルトレイク/アメリカ)
ジョエル・キャンベル(クラブ・レオン/メキシコ)
ヘルソン・トーレス(エレディアノ)
イェルツィン・テヘダ(エレディアノ)

FW
アントニー・コントレラス(エレディアノ)

交代出場
65分 ヘルソン・トーレス→ブランドン・アギレラ(ノッティンガム・フォレスト/イングランド)
65分 アントニー・コントレラス→ジェウィソン・ベネット(サンダーランド/イングランド)
89分 セルソ・ボルヘス→ユースティン・サラス(サプリサ)
90+5分 ジョエル・キャンベル→ダニエル・チャコン(コロラド・ラピッズ/アメリカ)

文/飯塚 健司(ザ・ワールド編集ディレクター)

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