[W杯マッチ39]メッシがPK失敗も攻勢の手を緩めなかったアルゼンチンが完勝 ポーランドはさらなる失点を免れたことが功を奏す

PKを外し、ゴールやアシストもなかったがメッシは存在感を放った photo/Getty Images

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アルゼンチンの前にシュチェスニーが立ちはだかった

MATCH 39 グループC 第3節 
2022年11月30日 22:00キックオフ(スタジアム 974)
ポーランド 0-2 アルゼンチン

1日、混戦模様となっているグループCではポーランド対アルゼンチンの好カードが実現。世界屈指のスコアラーであるレヴァンドフスキとメッシがW杯の舞台で相まみえた。ポーランドは勝ち点4でグループCの首位に立っており、アルゼンチンが勝ち点3でその後を追う構図。自力での決勝トーナメント進出を決めるためには、両者ともに勝ちにいかなければならない。

立ち上がりから球際の激しさを見せた両チーム。ポーランド陣内とアルゼンチン陣内を行ったり来たりする展開が続いたが、徐々にアルゼンチンがペースを握り始める。特にメッシが中央突破からチャンスを作る場面が目立ち、10分には中央からエリア内左へと侵入したメッシがシュートを放つ。これはシュチェスニーがしっかりと弾き出した。
一方のポーランドは、レヴァンドフスキが突破口を探る。13分、右サイドに流れたレヴァンドフスキが打開を試みたが、ここはアクーニャやエンソ・フェルナンデスが対応。

その後も存在感を発揮したのは、敵陣中央に鎮座するメッシだった。特にメッシから左サイドのアクーニャへという展開が続く。17分、メッシの浮き球のパスを左で受けたアクーニャが切り返し、シュートを打ち切ったがこれは枠の上。19分にはメッシからの浮き球のパスをエリア内左にいたアクーニャがヘディングで押し込もうとしたが、シュチェスニーにキャッチされた。

アルゼンチンは右サイドからもチャンスを作る。28分、ディマリアからパスを受けた右サイドバックのモリーナがクロスを入れる。中央で待ち構えていたアルバレスがシュートも、これはポーランドDFがブロック。クリアをアクーニャが拾ってシュートを放ったが、これは右に外れた。

前半のハイライトは36分。マックアリスターがドリブルで中央を突破すると、スルーパスを受けたアルバレスが左足でシュート。これはシュチェスニーがセーブした。しかし、跳ね返りを拾ったアルバレスが今度は左サイドからクロスを送るとメッシがヘディングで合わせる。シュートは枠を外れたが、ハイボールを処理しようとしたシュチェスニーの手がメッシの顔に当たってしまっていた。VARの介入によりPKの判定が下り、キッカーは初戦のサウジアラビア戦でPKを沈めていたメッシが務めた。

ようやくアルゼンチンが先制かと思われたが、メッシはこれを決めきれない。右に放ったシュートはシュチェスニーが読み切り、ビッグセーブ。前節のサウジアラビア戦に続いて、2戦連続のPKストップをやってのけた。

アルゼンチンは引き続き右や左からポーランドゴールを目指すが、最後までシュチェスニーやポーランドDF陣は集中力を切らさなかった。スコアは0-0のままハーフタイムに突入。猛攻を凌ぎきる。

PKストップを始めとするシュチェスニーの好セーブが決勝トーナメント進出の要因となった photo/Getty Images

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容赦なきアルゼンチン攻撃陣が攻め立てる

しかし前半の奮闘もむなしく、ポーランドは後半開始直後にアルゼンチンにゴールを許してしまう。ディ・マリアとの連携から右サイドを突破したモリーナが、マイナス気味のクロスを中央へ送る。これに反応したマックアリスターがダイレクトでシュート。ゴール左隅へと流し込み、待望の先制点をゲットした。

この直後から、ポーランドがリスクを負ってでも前に出ようという姿勢を見せ始めるが、メッシがそれを許さない。アルゼンチンが少しポーランドに押し込まれていた53分。メッシが自陣から1人でロングカウンターを発動し、ドリブルでエリア内まで侵入。シュートはうまくヒットしなかったが、ポーランドDF陣に冷や汗をかかせる。

こうなってしまえばアルゼンチンペース。他会場の状況も考慮しながら戦いたいポーランドは、再び自陣に引きこもる。押し込むアルゼンチンは67分、じっくりとボールを回しながら攻めどころを探し、エンソ・フェルナンデスがドリブルでスイッチを入れる。エリア内でパスを受けたアルバレスは前を向いてから右足でシュート。シュチェスニーもこれは弾ききれず、決定的なダメ押し弾が決まった。

アルゼンチンはリードを2点に広げてからも攻撃の手を緩めない。73分、アルバレスがメッシのスルーパスに抜け出し、シュチェスニーと1対1の場面を迎える。シュートは惜しくもゴール右に外れ、得失点差も気にしたいポーランドは救われた。

1点でも返せるとポーランドは多少楽になるのだが、攻撃の糸口を掴むことができない。77分には、カウンターから途中出場のカミンスキが左サイドを突破するも、アルゼンチンの戻りが早く、レヴァンドフスキにボールを収めることはできなかった。

86分には途中出場のラウタロ・マルティネスが相手のバックパスをかっさらい、シュチェスニーと1対1のシーンを迎える。ここはラウタロのシュートがわずかに枠左へと外れ、ポーランドは3失点目を免れた。

このままポーランドは反撃することができず、試合は0-2でホイッスル。勝利したアルゼンチンは勝点を6まで伸ばし、グループステージ首位通過を決めた。一方、敗れたポーランドの行方はサウジアラビア対メキシコの結果次第となったが、そちらは1-2で終了。メキシコと勝点4で並んだが、得失点差でわずかに上回り、ポーランドが2位で勝ち抜けとなった。ポーランドはシュチェスニーのPKストップや終盤のピンチの場面で失点しなかったことが、結果を大きく左右した。

ポーランドゴールをこじ開けたマックアリスターの一発 photo/Getty Images

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[スコア]
ポーランド 0-2 アルゼンチン

[得点者]
アルゼンチン
46分 アレクシス・マックアリスター
67分 フリアン・アルバレス

[ポゼッション]
ポーランド 25% アルゼンチン 64% 中立11%

[シュート数]
ポーランド 3 アルゼンチン 24

[枠内シュート]
ポーランド 0 アルゼンチン 13

[イエローカード]
ポーランド 1枚
グジェゴシュ・クリホビアク

アルゼンチン 1枚
マルコス・アクーニャ

[レッドカード]
なし

[ラインナップ]
ポーランド
フォーメーション:[4-5-1]

監督:チェスワフ・ミフニエビチ

GK
ヴォイチェフ・シュチェスニー(ユヴェントス/イタリア)

DF
マティ・キャッシュ(アストン・ヴィラ/イングランド)
ヤクブ・キビオル(スペツィア/イタリア)
カミル・グリク(ベネヴェント/イタリア)
バルトシュ・ベレシンスキ(サンプドリア/イタリア)

MF
クリスティアン・ビエリク(バーミンガム/イングランド)
グジェゴシュ・クリホビアク(アルシャバブ/サウジアラビア)
カロル・シフィデルスキ(シャーロット/アメリカ)
ピエトル・ジエリンスキ(ナポリ/イタリア)
ブシェミスワフ・フランコフスキ(ランス/フランス)

FW
ロベルト・レヴァンドフスキ(バルセロナ/スペイン)

交代出場
46分 カロル・シフィデルスキ→ミハウ・スクラシ(レフ・ポズナン)
46分 ブシェミスワフ・フランコフスキ→ヤクブ・カミンスキ(ヴォルフスブルク/ドイツ)
62分 クリスティアン・ビエリク→ダミアン・シマンスキ(AEKアテネ/ドイツ)
72分 バルトシュ・ベレシンスキ→アルトゥル・イェンドジェイチク(レギア・ワルシャワ)
83分 グジェゴシュ・クリホビアク→クシシュトフ・ピョンテク(サレルニターナ/イタリア)

アルゼンチン
フォーメーション:[4-3-3]

監督:リオネル・スカローニ

GK
エミリアーノ・マルティネス(アストン・ヴィラ/イングランド)

DF
マルコス・アクーニャ(セビージャ/スペイン)
クリスティアン・ロメロ(トッテナム/イングランド)
ニコラス・オタメンディ(ベンフィカ/ポルトガル)
ナウエル・モリーナ(アトレティコ・マドリード/スペイン)

MF
ロドリゴ・デ・パウル(アトレティコ・マドリード/スペイン)
アレクシス・マックアリスター(ブライトン/イングランド)
エンソ・フェルナンデス(ベンフィカ/ポルトガル)

FW
フリアン・アルバレス(マンチェスター・シティ/イングランド)
リオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン/フランス)
アンヘル・ディ・マリア(ユヴェントス/イタリア)

交代出場
59分 アンヘル・ディ・マリア→レアンドロ・パレデス(ユヴェントス/イタリア)
59分 マルコス・アクーニャ→ニコラス・タグリアフィコ(オリンピック・リヨン/フランス)
79分 エンソ・フェルナンデス→ヘルマン・ペッセッラ(レアル・ベティス/スペイン)
79分 フリアン・アルバレス→ラウタロ・マルティネス(インテル/イタリア)
83分 アレクシス・マックアリスター→ティアゴ・アルマダ(アトランタ・ユナイテッド/アメリカ)

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