[W杯マッチ43]ジャイアントキラー日本ふたたび降臨! 無敵艦隊撃破、大逆転のグループ首位で16強へ
反撃の口火を切ったのは、またも堂安の左足だった photo/Getty Images
モラタのゴールで早い時間にビハインド
MATCH 43 グループE 第3節
2022年12月1日 22:00キックオフ(会場:ハリファ国際スタジアム)
日本 2-1 スペイン
ドイツに逆転勝ちしたが、コスタリカには競り負けた。スペインとの決戦を前に、「自分たちの現在地をはかるうえで絶好の相手」と語っていたのは三笘薫である。
ラウンド16、さらにその先の景色を見るためにはとにかく勝点が必要で、遠藤航、冨安健洋、酒井宏樹などのコンディションが整わない苦しい台所事情のなか[5-4-1]という守備的な布陣でスタートしたが、12分に右サイドをガビ、ニコ・ウイリアムズの連携で崩され、セサル・アスピリクエタのクロスをアルバロ・モラタに決められて先制点を許す。
その後も後方に重心があるためボールポゼッションを許し、パスをまわされ、多くの時間で劣勢を強いられた。しかし、これは想定内であり、各選手が連携・連動した良い守備でボールを奪い、その流れで素早く前線の前田大然やシャドーの鎌田大地、久保建英に預けてフィニッシュまで持っていく。この狙いをブレずに続けていけばボールポゼッションやシュート数で下回っても勝利に繋げられる。そのことは、第1戦のドイツ戦で証明していた(コスタリカ戦では逆にやられたが……)。
ただ、スペインも確実に勝ち上がりを決めるためには勝点が必要で、ボールをロストしたあとのネガティブ・トランジションが早く、前半は日本がボールを持っても素早く潰され、なかなか効果的な攻撃を仕掛けることができなかった。
あきらめず折り返した三笘のクロスに、田中はしっかり飛び込んでいた photo/Getty Images
またも堂安の同点弾が流れを変える
展開を変えたのはまたも交代選手で、後半からピッチに立った堂安律、三笘が早々に仕事をした。48分、ウナイ・シモンのクリアをカットした伊東純也が前方に送ると、これを受けた堂安が軽快なトラップから左足を振り抜き、豪快にゴールネットを揺らしてまずは同点。直後の51分、堂安のパスがファーサイドに流れたところ、三笘が左足を伸ばして折り返す。走り込んだ田中碧がとにかく身体で押し込み、ふたたびゴールネットを揺らした。
日本2-1スペイン。その後、日本が浅野琢磨、冨安健洋を投入して攻守を引き締め、スペインはマルコ・アセンシオ、フェラン・トーレス、アンス・ファティなどを投入して攻撃力を高めてくる。ポゼッションを高めてゴールを狙ってくるスペインに、耐えた状態から浅野、伊東、三笘の“足”で追加点を狙う日本。試合終了まで、手に汗を握るまさに一進一退の攻防が続いた。
7分の追加時間を終えてホイッスルが吹かれるまで、日本の各選手は集中力を切らさず、身体を張って守り抜いた。43分、44分にあった決定的なピンチも守護神の権田修一が防ぎ、ドイツ戦に続いて大きな1勝、勝点3を手中にし、グループEを首位で通過した。
選手の多くが欧州でプレイする今回の日本は、ベスト8進出を目標にチーム力を高めてきた。ドイツ、スペインを下しての2勝は、世界を相手にしても確実に戦えるという証明である。ラウンド16の相手は前回準優勝のクロアチア。その先に、新しい景色が待っている。
「アジア、日本にとって、スペインというトップグループにいる相手に勝てたのは大きな自信につながります。アジア、日本のサッカーが世界の舞台でも勝っていけることに自信を持ち、みなさんと喜びを分かち合いたいです」(森保一監督)
「我慢強く戦う。ハードワークする。チームがひとつになって戦う。これらは、どの国よりも熱いものがあると思っています。それが、自分たちの良さだと思っています」(決勝点でマンオブザマッチの田中碧)
指揮官、選手ともに、自信を得ることができる勝利となった。いよいよノックアウトラウンド突入である。カタールW杯での日本サッカーの挑戦は、まだ続いていく。
ヘディングによるモラタの先制弾。日本はモラタの動きを捕まえきれなかった photo/Getty Images
[スコア]
日本 2-1 スペイン
[得点者]
日本
48分 堂安律
51分 田中碧
スペイン
11分 アルバロ・モラタ
[ポゼッション]
日本 16% スペイン 74% 中立10%
[シュート数]
日本 6 スペイン 13
[枠内シュート]
日本 3 スペイン 5
[イエローカード]
日本 3枚
板倉滉
谷口彰悟
吉田麻也
[レッドカード]
なし
[ラインナップ]
日本
フォーメーション:[3-4-3]
監督:森保一
GK
権田修一(清水エスパルス)
DF
谷口彰悟(川崎フロンターレ)
吉田麻也(シャルケ/ドイツ)
板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)
MF
長友佑都(FC東京)
守田英正(スポルティングCP/ポルトガル)
田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)
伊東純也(スタッド・ランス/フランス)
FW
久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
前田大然(セルティック/スコットランド)
交代出場
46分 久保建英→堂安律(フライブルク/ドイツ)
46分 長友佑都→三笘薫(ブライトン/イングランド)
62分 前田大然→浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
69分 鎌田大地→冨安健洋(アーセナル/イングランド)
87分 田中碧→遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)
スペイン
フォーメーション:[4-3-3]
監督:ルイス・エンリケ
GK
ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)
DF
アレハンドロ・バルデ(バルセロナ)
パウ・トーレス(ビジャレアル)
ロドリ(マンチェスター・シティ/イングランド)
セサル・アスピリクエタ(チェルシー/イングランド)
MF
セルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)
ガビ(バルセロナ)
ペドリ(バルセロナ)
FW
ダニ・オルモ(ライプツィヒ/ドイツ)
ニコ・ウィリアムス(アスレティック・ビルバオ)
アルバロ・モラタ(アトレティコ・マドリード)
交代出場
46分 セサル・アスピリクエタ→ダニ・カルバハル(レアル・マドリード)
57分 ニコ・ウィリアムス→フェラン・トーレス(バルセロナ)
57分 アルバロ・モラタ→マルコ・アセンシオ(レアル・マドリード)
68分 ガビ→アンス・ファティ(バルセロナ)
68分 アレハンドロ・バルデ→ジョルディ・アルバ(バルセロナ)
文/飯塚 健司(ザ・ワールド編集ディレクター)