[W杯マッチ50]アルゼンチン、今大会2度目の“アジア勢に苦戦”も…… 1000試合出場達成のメッシが違いを見せつけた
先制ゴールを決め、喜びを爆発させるメッシ photo/Getty Images
これこそがスーパースター
MATCH 50 決勝トーナメント1回戦
2022年12月3日22:00キックオフ(会場:アハマド・ビン・アリ・スタジアム)
アルゼンチン 2-1 オーストラリア
ベスト8進出をかけて、初戦でサウジアラビアに不覚をとるもその後2連勝を飾り、グループCを首位通過したアルゼンチン代表と、フランス戦こそ大敗したものの、粘り強い戦いでグループDを2位通過したオーストラリア代表が激突した。
アルゼンチンは前試合からスターティングメンバーを1名変更。ポーランド戦で負傷交代していたアンヘル・ディ・マリアの起用はやはり厳しいのか、代わりにアレハンドロ・ゴメスが名を連ねている。一方のオーストラリアもクレイグ・グッドウィンに代えてキアヌ・バッカスがスタートと、前試合からのスタメンの変更点は1名だ。
オーストラリアボールでキックオフされた試合は、アルゼンチンがボールを保持し、オーストラリアがブロックを敷く展開。アルゼンチンはリオネル・メッシが中盤の底まで降りてきてパス回しに加わり、まずは試合の主導権を握りつつ、攻撃のリズムを作ろうとする。ただ、オーストラリアもボールこそ握られている時間帯が長いが、持ち味のフィジカルとコンパクトな守備でアルゼンチンになかなかチャンスを作らせない。そして、体格差のアドバンテージを活かせるセットプレイやクロスからアルゼンチンの一瞬の隙を狙う。
手堅い試合運びとなり、両チームともにそれほど決定機もなく時間が進んでいったことで、スコアレスでの折り返しも視野に入っていたはず。しかし、こんな空気をひとつのプレイでガラリと変えてしまう圧倒的な存在、これこそがスーパースターだ。
35分、右サイドの深い位置でFKを得たアルゼンチン。メッシが放ったゴールへ向かう鋭いクロスは、一度はオーストラリア守備陣に跳ね返されるも、アレハンドロ・ゴメスが回収。ゴメスは再び右サイドのメッシにボールを預ける。メッシはDFと1対1であったため、自らドリブルで仕掛けるという選択肢もあっただろうが、ペナルティアーク手前にいたアレクシス・マック・アリスターへマイナスのボールを通し、自身はペナルティエリア内へ向かう。アリスターはペナルティエリア内にいたニコラス・オタメンディに縦パスを通すと、オタメンディは走り込んできたメッシにダイレクトで落とした。メッシはワントラップしてすぐさま左足を振り抜き、オーストラリアゴールをこじ開けたのだ。
少しボールを下げたことで、オーストラリア守備陣の目線が前を向き、自身のマークが一瞬外れた。フリーになったその一瞬の隙を突き、わずかに空いたゴール前のスペースに走り込んでの股抜きシュート。技術ももちろんだが、この試合でキャリア通算の公式戦出場数「1000」を達成し、長年ゴールを量産してきたメッシの嗅覚はやはり凄まじい。前半はこのまま終了し、アルゼンチンが1点リードしてハーフタイムを迎えている。
81分、ベヒッチがドリブルでアルゼンチン守備陣を切り裂いたがゴールとはならず photo/Getty Images
オーストラリアが終盤に猛追するも
追加点を挙げて勝利を手繰り寄せたいアルゼンチンと、なんとしても同点にしたいオーストラリア。後半に入って先にスコアを動かしたのは前者だった。57分、アルゼンチンは前線から激しいプレスを仕掛けると、フアリン・アルバレスとロドリゴ・デ・パウルが相手GKを囲い込んでボールを奪取。アルバレスが落ち着いて流し込み、アルゼンチンがリードを2点に広げた。
2度目の失点後、まだまだ諦めてはいないオーストラリアは71分までに5枚全ての交代カードを切り反撃を試みる。すると77分、ペナルティエリア左手前でクロスのこぼれ球を拾ったクレイグ・グッドウィンが、思い切ってダイレクトで左足を振り抜く。エンソ・フェルナンデスに当たってコースが変わったボールはアルゼンチンゴールに吸い込まれて1点差に。勢いの乗ったオーストラリアは81分にも、アジズ・ベヒッチがドリブルで4人かわしてゴール前まで持ち込んだが、リサンドロ・マルティネスの身体を張った決死のブロックに阻まれ、同点とはならない。
その後、オープンな展開となって双方に何度か決定機はあったが、スコアは動かず。アルゼンチンは今大会2度目のアジア勢に苦しむも、2-1で逃げ切り、2大会ぶりのベスト8進出を決めた。苦しみながらも着実にコマを進めるアルゼンチンは、メッシが「ラストチャンス」と位置付ける今大会で、悲願を達成することができるのか。
2大会ぶりのベスト8進出を喜ぶアルゼンチン代表メンバー photo/Getty Images
[スコア]
アルゼンチン 2-1 オーストラリア
[得点者]
アルゼンチン
35分 リオネル・メッシ
57分 フリアン・アルバレス
オーストラリア
77分 エンソ・フェルナンデス(OG)
[ポゼッション]
アルゼンチン 54% オーストラリア 34% 中立 12%
[シュート数]
アルゼンチン 14 オーストラリア 5
[枠内シュート]
アルゼンチン 5 オーストラリア 1
[イエローカード]
オーストラリア 2枚
ジャクソン・アーバイン
ミロシュ・デゲネク
[レッドカード]
なし
[ラインナップ]
アルゼンチン
フォーメーション:[4-3-3]
監督:リオネル・スカローニ
GK
エミリアーノ・マルティネス(アストン・ヴィラ/イングランド)
DF
マルコス・アクーニャ(セビージャ/スペイン)
クリスティアン・ロメロ(トッテナム/イングランド)
ニコラス・オタメンディ(ベンフィカ/ポルトガル)
ナウエル・モリーナ(アトレティコ・マドリード/スペイン)
MF
ロドリゴ・デ・パウル(アトレティコ・マドリード/スペイン)
アレクシス・マック・アリスター(ブライトン/イングランド)
エンソ・フェルナンデス(ベンフィカ/ポルトガル)
FW
フリアン・アルバレス(マンチェスター・シティ/イングランド)
リオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン/フランス)
アレハンドロ・ゴメス(セビージャ/スペイン)
交代出場
50分 アレハンドロ・ゴメス→リサンドロ・マルティネス(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
71分 フリアン・アルバレス→ラウタロ・マルティネス(インテル/イタリア)
71分 マルコス・アクーニャ→ニコラス・タグリアフィコ(リヨン/フランス)
80分 ナウエル・モリーナ→エセキエル・パラシオス(レバークーゼン/ドイツ)
80分 アレクシス・マック・アリスター→ゴンサロ・モンティエル(セビージャ/スペイン)
オーストラリア
フォーメーション : [4-4-2]
監督 : グラハム・アーノルド
GK
マシュー・ライアン(コペンハーゲン/デンマーク)
DF
ミロシュ・デゲネク(コロンバス・クルー/アメリカ)
カイ・ロールズ(ブレシア/イタリア)
アジズ・ベヒッチ(ダンディー・ユナイテッド/スコットランド)
ハリー・サウター(ストーク/イングランド)
MF
マシュー・レッキー(メルボルン・シティ)
アーロン・ムーイ(セルティック/スコットランド)
ジャクソン・アーバイン(ザンクトパウリ/ドイツ)
キアヌ・バッカス(セントミレン/スコットランド)
FW
ライリー・マッグリー(ミドルズブラ/イングランド)
ミッチェル・デューク(ファジアーノ岡山/日本)
交代出場
58分 キアヌ・バッカス→アイディン・フルスティッチ(ヴェローナ/イタリア)
58分 ライリー・マッグリー→クレイグ・グッドウィン(アデレード・ユナイテッド)
71分 マシュー・レッキー→ガラン・クオル(セントラルコースト・マリナーズ)
71分 ミッチェル・デューク→ジェイミー・マクラーレン(メルボルン・シティ)
71分 ミロシュ・デゲネク→フラン・カラチッチ(ブレシア/イタリア)