もう遠藤保仁の“後継者”は出てこないのか 日本に不足しているゲームメイカーとセットプレイキッカー

日本代表で150試合以上戦ってきた遠藤 photo/Getty Images

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強豪国相手にもボールを握ってゲームをコントロールする時間が必要だ

ベスト16でクロアチア代表に敗れたものの、FIFAワールドカップ・カタール大会でドイツ、スペインを撃破するサプライズを起こした日本代表。今大会ではスピード、運動量、守備力などフィジカル部分に注目が集まりがちで、日本人選手も世界と互角のフィジカルバトルを挑めるようになってきた。これは過去のワールドカップでは見られなかったものだ。そこに手応えを感じたサポーターも多いだろう。

しかしその一方で、組み立ての部分には物足りなさが残る。遠藤航、守田英正、田中碧を中心に構成される中盤はエネルギーがあり、世界とも戦えている。だが、いわゆるゲームメイカーと呼べる存在が不足している。

特に0-1で敗れた第2戦のコスタリカ戦だ。引いた相手を崩すのに苦労した日本は、後方から組み立ててチャンスを作ることが出来なかった。不足しているのは、遠藤保仁の後継者だ。
ドイツ、スペイン戦も相手にボールを支配されるのは仕方がないが、理想としてはもう少しボールを保持して中盤をコントロールする時間が欲しかった。遠藤のようなタイプがいれば、堅守速攻だけではない異なるアイディアをチームにプラスしてくれたことだろう。特にコスタリカ戦のようなゲームでこそ遠藤のような選手が欲しい。

ベンチには柴崎岳が控えていたが、代表で150試合以上プレイしてきた遠藤とは差がある印象だ。それこそ遠藤は日本サッカー界にとって100年に1度と言っていい才能で、今大会を通して改めて遠藤のようなゲームメイカーの大きさを感じさせられる。

ゲームメイクの部分だけでなく、今の日本はセットプレイにも課題がある。以前は左の本田圭佑、右の遠藤保仁とセットプレイを担当する選手がおり、遠藤はコーナーキックや味方に合わせるフリーキックも上手かった。本田の前には左の名手・中村俊輔もおり、セットプレイの期待感は明らかに当時の方が高かった。今の代表では久保建英が高い精度を誇るが、まだスタメンで固定されているわけではない。冨安健洋など高さのある選手も出てきているため、今後はもっとセットプレイも有効活用したい。

現代表の遠藤航、守田、田中には強度があり、特に遠藤航はデュエルで抜群の強さを見せる。パワーやスピード、守備力といった部分は、現MF陣が上だろう。しかし久保、三笘薫、堂安律、伊東純也など2列目の豊富なタレントを最大限活かすには、彼らを中盤の底からコントロールする存在も必要になってくる。強豪国相手にはボランチを飛ばした中盤省略の速攻も威力を発揮するが、コスタリカのような互角、あるいは格下と思える相手から確実に白星を奪っていくには遅攻のクオリティも上げていかなければならない。

センターバックの吉田麻也、左サイドバックの長友佑都といったベテランは遠藤保仁とも長くプレイしてきたが、ビルドアップの際にとりあえず遠藤へ預けておけば何とかしてくれるとの安心感もあったはずだ。ドイツ、スペインを沈めたスピード感溢れる守備から攻撃への切り替えも磨きつつ、強豪国相手にもボールを保持する時間を作れれば理想的だ。ドイツならばジョシュア・キミッヒ、スペインならばセルヒオ・ブスケッツといった選手が中盤をコントロールしていたが、日本にも世界で通用するゲームメイカーは出てくるだろうか。

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