[W杯マッチ64]メッシ、“ラストチャンス”で悲願の世界一 アルゼンチンがW杯史上最も激しい決勝を制す

この試合で2ゴールを挙げたメッシ photo/Getty Images

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前半はアルゼンチンが王者を圧倒

MATCH 64 決勝
2022年12月18日 18:00キックオフ(会場:ルサイル・スタジアム)
アルゼンチン 3–3(4-2) フランス

約1ヶ月にわたって激闘が繰り広げられたサッカーの祭典、FIFAワールドカップ・カタール大会もついにクライマックスを迎えた。今大会も波乱や名場面がたくさん生まれたが、決勝の舞台にたどり着いたのは8年前のブラジル大会でのリベンジに燃えるアルゼンチン代表と、史上3カ国目の2連覇を目指すフランス代表だ。はたして、W杯のトロフィーはどちらの国が手にするのか。

アルゼンチンはこの大一番で、負傷していたアンヘル・ディ・マリアがスタメン復帰。その他のメンバーは、準決勝・クロアチア戦と同様のメンバーとなっている。一方、体調不良の選手が続出しているとの報道があった王者フランス。ダヨ・ウパメカノとアドリアン・ラビオが復帰し、欠場の噂もがあったオリヴィエ・ジルーも無事にスタメン入りを果たした。
やはり注目は、ここ10年以上もサッカー界を牽引してきたリオネル・メッシと、これからの10年を担っていくであろうキリアン・ムバッペの新旧エース対決か。また、ここまで5ゴールで得点ランキングの首位に立つ彼らと、それを1ゴール差で追うジルーとフリアン・アルバレス(ともに4ゴール)による得点王争いも最後まで目が離せない。

そんな中キックオフされた試合は、アルゼンチンが立ち上がりからボールを支配し、ミドルシュートやクロスから積極的にゴールを狙いにいく。それに対してフランスは、アルゼンチンより中日が1日少ないせいか、体調不良者が相次いだせいかはわからないが、動きが重い印象で、やや苦しい入りとなっている。

すると21分、左サイドの深い位置でボールを受けたディ・マリアがドリブルで中央へ切り込むと、ペナルティエリア内でウスマン・デンベレのファウルを誘い、PKをゲット。このPKをメッシが冷静に沈め、アルゼンチンが幸先よく先制している。メッシはこのゴールで得点ランキングにおいても単独首位に立った

その後もテンポ良くパスを回し、フランスの守備陣に揺さぶりをかけるアルゼンチン。36分には素早いパス回しによるカウンターから、最後はディ・マリアがゴールネットを揺らし、追撃に成功した。なお、この2失点をうけて、フランスは前半のうちに早々と2枚の交代カードを切り、流れを変えにかかるが、シュート数「0」のまま2-0でハーフタイムを迎えている。

この大舞台でハットトリックを達成したムバッペ photo/Getty Images

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メッシが決めれば、ムバッペが返す

後半に入ってもなかなかギアの上がらないフランスに対して、アルゼンチンは3点目を奪うべく果敢に攻め、何度もチャンスを作っていく。これほど思うようなプレイをすることができず、苦しんでいるフランスの姿は、今大会を通してはもちろんのこと、なかなかお目にかかれないのではないか。フランスのこの試合初のシュートが「71分」だったというのも衝撃的だ。

しかし、このまますんなり終わらないのがW杯の決勝である。フランスは後半の半ばを過ぎた頃から徐々にシュートチャンスを作ると、79分、途中出場していたランダル・コロ・ムアニがスピードに乗って相手の背後を取る。すると、守備に入ったオタメンディがムアニを倒してしまい、フランスにPKが与えられた。これをメッシに「お返し」と言わんばかりにムバッペが沈め、点差を1点に縮めた。

ゴールはこれ以上ない“薬”だ。この同点ゴールで、これまでの重たかった動きが嘘だったかのように、フランスは一気に息を吹き返す。直後の81分にも、メッシからボールを奪って始まったショートカウンターから最後はムバッペが豪快なボレーを叩き込み、あっという間に同点に。得点ランキングに関しても、この時点でメッシを抜いてムバッペが首位に立った。

同点に追いついてからも、勢いに乗るフランスが攻撃をたたみかけるが、逆転するまでには至らず、決勝はここ5大会で4度目の延長戦へ。延長に入ると、108分にメッシがこぼれ球を押し込めば、118分にムバッペがハットトリック達成となるPK弾で返す。120分でも決着はつかず、運命はPK戦に委ねられることに。先攻のフランスはムバッペがこの日3度目のPKを成功させたものの、2人目のキングスレイ・コマン、3人目のオーレリアン・チュアメニと、4人目までに2人が失敗。一方で、後攻のアルゼンチン1人目のはメッシを含めて4人全員が成功した。

この結果、PK戦のスコアを4-2としたアルゼンチンが、36年ぶりの優勝を成し遂げている。これほど白熱した決勝は過去にあっただろうか。W杯史上最も激しい決勝と言っていいかもしれない。35歳のメッシは“ラストチャンス”と位置付けた、自身にとって5度目の挑戦ついに悲願を達成してみせた。なお、得点王にはムバッペが輝いている。

フランスとのPK戦を制したアルゼンチン photo/Getty Images

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[スコア]
アルゼンチン 3–3(4-2) フランス

[得点者]
アルゼンチン
23分 リオネル・メッシ(PK)
36分 アンヘル・ディ・マリア
108分 リオネル・メッシ

フランス
80分 キリアン・ムバッペ(PK)
81分 キリアン・ムバッペ
118分 キリアン・ムバッペ

[ポゼッション]
アルゼンチン 42% フランス 38% 中立 20%

[シュート数]
アルゼンチン 20 フランス 10

[枠内シュート]
アルゼンチン 10 フランス 5

[イエローカード]
アルゼンチン 4枚
エンソ・フェルナンデス
マルコス・アクーニャ
レアンドロ・パレデス
ゴンサロ・モンティエル

フランス 3枚
アドリアン・ラビオ
マルクス・テュラム
オリヴィエ・ジルー

[レッドカード]
なし

[ラインナップ]
アルゼンチン
フォーメーション:[4-3-3]

監督:リオネル・スカローニ

GK
エミリアーノ・マルティネス(アストン・ヴィラ/イングランド)

DF
ニコラス・タグリアフィコ(オリンピック・リヨン/フランス)
クリスティアン・ロメロ(トッテナム/イングランド)
ニコラス・オタメンディ(ベンフィカ/ポルトガル)
ナウエル・モリーナ(アトレティコ・マドリード/スペイン)

MF
ロドリゴ・デ・パウル(アトレティコ・マドリード/スペイン)
アレクシス・マック・アリスター(ブライトン/イングランド)
エンソ・フェルナンデス(ベンフィカ/ポルトガル)

FW
フリアン・アルバレス(マンチェスター・シティ/イングランド)
リオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン/フランス)
アンヘル・ディ・マリア(ユヴェントス/イタリア)

交代出場
64分 アンヘル・ディ・マリア→マルコス・アクーニャ(セビージャ/スペイン)
91分 ナウエル・モリーナ→ゴンサロ・モンティエル(セビージャ/スペイン)
102分 ロドリゴ・デ・パウル→レアンドロ・パレデス(ユヴェントス/イタリア)
102分 フリアン・アルバレス→ラウタロ・マルティネス(インテル/イタリア)
116分 アレクシス・マック・アリスター→ヘルマン・ペッセラ(ベティス/スペイン)
120+1分 ニコラス・タグリアフィコ→パウロ・ディバラ(ローマ/イタリア)


フランス
フォーメーション : [4-3-3]

監督 : ディディエ・デシャン

GK
ウーゴ・ロリス(トッテナム/イングランド)

DF
ラファエル・ヴァラン(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ジュール・クンデ(バルセロナ/スペイン)
ダヨ・ウパメカノ(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
テオ・エルナンデス(ACミラン/イタリア)

MF
アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード/スペイン)
オーレリアン・チュアメニ(レアル・マドリード/スペイン)
アドリアン・ラビオ(ユヴェントス/イタリア)

FW
オリヴィエ・ジルー(ACミラン/イタリア)
キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
ウスマン・デンベレ(バルセロナ/スペイン)

交代出場
41分 ウスマン・デンベレ→マルクス・テュラム(ボルシアMG/ドイツ)
41分 オリヴィエ・ジルー→ランダル・コロ・ムアニ(フランクフルト/ドイツ)
71分 アントワーヌ・グリーズマン→キングスレイ・コマン(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)
71分 テオ・エルナンデス→エドゥアルド・カマヴィンガ(レアル・マドリード/スペイン)
96分 アドリアン・ラビオ→ユスフ・フォファナ(モナコ)※脳震盪
113分 ラファエル・ヴァラン→イブラヒマ・コナテ(リヴァプール/イングランド)
120+1分 ジュール・クンデ→アクセル・ディザジ(モナコ)

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