17年前のW杯制覇知るイタリア戦士たちが指導者へ グロッソ、ジラルディーノ、デ・ロッシらセリエBでの挑戦

ドイツ大会を制したイタリア代表 photo/Getty Images

再び強いアズーリを目指して

2006年のワールドカップ・ドイツ大会を制したイタリア代表は強かった。攻撃から守備までトップレベルの選手が揃い、自慢の堅守を軸に安定した戦いでワールドカップのトロフィーを手に入れたのだ。

その歓喜を味わった世代が続々と指導者の道へと進んでいる。注目はセリエBだ。

現在首位を走るフロジノーネを指揮するのは、ドイツ大会優勝を決める最後のPKを蹴ったことでも有名なファビオ・グロッソだ。現役時代に左サイドバックを担当してきたグロッソはユヴェントス下部組織でのコーチを経て、バーリ、ヴェローナ、ブレシア、スイスのシオンと着実に指揮官としての経験を積んできた。これらのクラブでは結果が出なかったが、2021年より指揮するフロジノーネではセリエA昇格に手をかけようとしている。2位ジェノアとは11ポイント差をつけての快走劇だ。

その2位ジェノアを指揮するのは、同じくドイツ大会で活躍したFWアルベルト・ジラルディーノだ。U-19世代の指導を経て、昨年12月よりトップチームの指揮官に就任したばかり。それでもここまでは10試合で6勝2分2敗と上々のスタートだ。

さらに3位レッジーナを指揮するのは、かつてミランで本田圭佑とも一緒に仕事をしたフィリッポ・インザーギだ。指揮官としてミランで大きな成功を掴むことはできなかったが、インザーギも早い段階から指導者の道へ入っていた。セリエAではなくセリエBからの再出発となっているが、現在指揮するレッジーナを昇格へ導けるか。

残留争いの方に目を向けると、18位SPALでは元ローマMFダニエレ・デ・ロッシが昨年10月よりチームを指揮している。イタリア代表のアシスタントコーチを経てSPALで指導者として本格的にスタートしており、SPALを危機から救えるか注目されている。

また19位ベネヴェントは、今月4日までファビオ・カンナバーロが指揮していた。ドイツ大会で最終ラインを束ねた絶対的リーダーは中国の広州恒大などアジア方面から指導者の道をスタートさせ、ベネヴェントの指導者としてイタリアへ戻ってきた。まだ欧州では結果を残せていないが、偉大なるアズーリを知るリーダーだ。指導者としても成功が望まれる。

他にもトルコのファティ・カラギュムリュクではアンドレア・ピルロ、スペインのバレンシアではジェンナーロ・イヴァン・ガットゥーゾが今年1月末まで指揮官を務めており、ワールドカップ制覇を知る彼らの指導者キャリアにもまた注目が集まる。

何より現在のA代表は2大会続けてワールドカップ出場を逃しており、アズーリ復活へ国内の若手育成が不可欠。セリエBのクラブを中心にワールドカップ優勝経験者が続々と指導者として絡んでいるのはポジティブなことで、彼らの指導力でA代表を再び高みへ押し上げたい。

レアル・マドリードのカルロ・アンチェロッティ、ブライトンで大注目のロベルト・デ・ゼルビなど、指揮官では名将タイプが多いイタリア。それにドイツ大会優勝経験者たちも続けるのか。指揮官としては駆け出しの世代だが、彼ら青年指揮官の挑戦に注目が集まる。

※記事中のガットゥーゾ監督の経歴に誤りがございました。ここにお詫びし訂正させていただきます。

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