[西岡明彦]トッテナムの気合いが見えた冬の移籍市場

プレミア最強ガイド #99

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新たな得点源として期待のダンジュマ。FA杯プレストン・ノースエンド戦では早速得点をマーク photo/Getty Images

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 熾烈なプレミアリーグ上位争い。潤沢な資金力を活かして冬の移籍市場で新戦力を補強した各クラブにあって、的確な人選で評価を上げたのがトッテナムです。

 スポルティングからDFペドロ・ポロを買取り義務付きオプションが付いたローン契約で、またFWアルナウト・ダンジュマをビジャレアルからローン契約で獲得しました。前者はスポルティングで98試合に出場し12得点を挙げ、2季連続してポルトガルリーグのベストイレブンに選出された逸材です。23歳という若さに加え、今季のチャンピオンズリーグで対戦したこともあり実力は実証済み。スパーズにとって最大の補強ポイントと考えられていた右ウィングに大きな力が加わることになりました。同ポジションの2選手であるマット・ドハーティとジェド・スペンスを放出し、今夏の完全移籍での獲得費用を含め推定4,200万ポンドを費やした新戦力には相当な期待が掛かっています。

 ダンジュマはビジャレアルに加入する2021年までボーンマスでプレイし、52試合17得点を挙げるなどプレミアリーグの舞台を経験済み。昨季のチャンピオンズリーグでビジャレアルをベスト4に導いた得点力などを評価し、リサーチを続けていた選手でした。オランダ代表の将来を担う25歳の加入によって、前線の選択肢が増えることになりました。
 一方、余剰戦力を抱えることは、資金面でも、不満分子を作る意味でも望んでいなかったアントニオ・コンテ監督は人員整理も行いました。スペンスはフランスのレンヌにローン移籍、MFブライアン・ヒルは古巣セビージャにローン移籍させ、出場機会を得られるよう促しました。またドハーティに関しては当初ローン契約でアトレティコ・マドリードに行かせようと画策しましたが、現行のFIFA規程にある「1クラブが1シーズンにローンで貸し出すことが出来る選手は8名まで」に違反することになるため、双方合意で契約を解除して、フリーでアトレティコに加入することを容認したのでした。

 即戦力の加入で戦力アップを図ることに成功した今冬のスパーズ。プレミアリーグのトップ4フィニッシュは、FWハリー・ケインの去就にも影響する可能性があるため、是が非でも成し遂げたい目標。今後のスパーズの戦いに注目です。

文/西岡 明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)278号、2月15日配信の記事より転載

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