期待しかないG大阪の半田 新潟の藤原は努力家
川崎に復帰した宮代は、自らのゴールでタイトル奪還に貢献したい photo/Getty Images
30周年を迎えたJリーグがいよいよ開幕します。毎年そうですが、今季もさまざまな話題があり、なにをピックアップしたらいいかを考えるとキリがありません。今回は私が注目するというか、期待する選手10名を紹介します。J1、J2から4名ずつ、J3から2名となりますが、もちろんもっと多くの選手に注目しています。なかでもとくに期待したい10名となっています。
まずは3年ぶりに川崎へ復帰した宮代大聖です。過去2年は徳島、鳥栖でプレイし、徳島で7得点、鳥栖ではチーム最多の8得点しています。アカデミー出身で生粋の川崎っ子であること考えると、期する思いがあるでしょう。川崎には小林悠、レアンドロ・ダミアンという経験あるFWがいますが、タイトル奪還のためには若手の成長が絶対に必要です。得点感覚があり、リンクマンにもなれる宮代大聖のゴールに期待しています。
町田から鹿島に加入した佐野海舟は、中盤でボールを奪取する能力が高く、セカンドボールをマイボールにする力もあります。昨季はケガや体調不良もあって不本意な1年になりましたが、町田は佐野海舟と高江麗央のダブルボランチが鉄板でした。J1初挑戦になりますが、サッカーIQが高くすでに鹿島に溶け込んでいます。その良さが引き出されたなら、日本代表入りも見えてくる逸材です。
山形のアカデミーで育った半田陸は、右SBの人材に困っているG大阪に移籍しました。ダニエル・ポヤトス監督のもと、G大阪はボールを握るサッカーを目指しています。現代型のSBである半田陸は攻撃において神出鬼没な動きを見せるし、もともとCBだったので守備力も高いです。海外移籍の噂があるなか、G大阪への移籍となりました。世代別代表で活躍してきた実績があり、パリ五輪世代でもあります。もう、期待しかない選手です。
藤原奏哉は新潟不動の右SBで、走力、強さ、巧さがあります。昨季は3戦連続を含む4得点でチームのJ1昇格に貢献しています。もともとボランチなので偽SBの動きもできる選手で、個人的に初のJ1でも十分に活躍できると思っています。なぜなら、阪南大でチームメイトだった息子(名良橋拓真)から「努力家だった」と聞いています。這い上がる力、反骨精神があります。J1でさらに飛躍することになるでしょう。
清水の山原は代表を狙える 杉本健勇はもっとやれるはず
山原は代表を狙えるポテンシャルがある photo/Getty Images
SBが多くて申し訳ないですが、清水の山原怜音もすごくいいです。大卒ルーキーだった昨季、精度の高いキックでチームアシスト王となりました。もともと前方でプレイしていたため、走力、スピードがあり、攻撃力があります。右足を強く振れる選手で、第22節浦和戦で決めた初ゴールは強烈でした。今季はJ2でプレイしますが、カットインからのシュートなどプレイの幅が広く、いずれは日本代表も狙える選手です。
昨季途中に完全移籍で熊本に加入した平川怜は、難しい大木武監督のサッカーにすぐにフィットし、正確な配球でチームの躍進を支えました。多くの主力が移籍したなか、今季は22歳でキャプテンを務めます。FC東京出身で久保建英と同い年で、世代別代表でも活躍してきました。昨季のJ1昇格プレイオフ決勝の京都戦で最後にシュートをゴールポストに当てたのが平川怜で、悔しさも残っているでしょう。昇格へのあと数センチをどう埋めるか、成長を見届けたいと思っています。
このまま終わってほしくないのが、磐田の杉本健勇です。昨季はPKの1点のみでしたが、年間二桁は取れる力を持っています。小川航基が得点王、MVPになって横浜FCをJ1昇格に導いたのと同じような活躍をサポーターは求めていると思います。ビッグチームを渡り歩くなか、ここ数年は数字を残せていません。期待されているのは得点で、どれだけチャンスを仕留められるかにかかっています。ゴールにフォーカスし、まだまだやれる、もっとやれるところをみせてほしいです。
青森山田高から仙台大に進み、2021年にいわきFCへ加入した嵯峨理久はJ3を経てJ2初挑戦となります。もともとサイドアタッカーでしたが、いわきFCでは右SBを務めて攻守にハードワークしていました。走力、スピードがあり、点も取れるSBです。日高大が千葉へ移籍し、石田侑資が鳥取から加入したことで今季は左サイドでプレイするかもしれませんが、どちらのサイドも遜色なくこなせます。高校時代に雪中トレーニングで鍛えた足腰があるので、J2でもアグレッシブなプレイをみせてくれるはずです。恩師である黒田剛さんが町田の監督になったので、その対決も楽しみにしています。
J3では田中恵太(鳥取)、藤本憲明(鹿児島)の2人に期待しています。田中恵太は大きなケガに苦しみましたが、アシストのスペシャリストで経験も豊富です。金鍾成監督とは過去に琉球で1シーズン一緒に戦っており、気心が知れていると思います。まだまだできることを証明してほしいですね。
6年ぶりの鹿児島復帰となる藤本憲明には、甲府を明るく引っ張っている三平和司のような活躍を期待しています。サポーターにはJ2昇格に貢献してくれたときの印象が強く残っていると思います。その後、ケガがあった時期もあり思うような結果を残せていません。ゴールを量産する姿をもう一度見たいと思っています。
構成/飯塚 健司
電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)278号、2月15日配信の記事より転載