京都サンガF.C.の川﨑颯太はパリ五輪世代の中心選手というだけでなく、同世代の候補選手の中でもJでのキャリアは群を抜く。京都がJ2時代の2020年、21年の2シーズンで57試合。更にJ1に昇格した昨年も28試合に出場。完全に京都のレギュラーとしてポジションを確保している。そして今季は21歳にしてチームのキャプテンに大抜擢された。
ただ一方でチームは開幕2連敗を喫し、スタートダッシュに失敗。何よりホームでの勝ち星は昨年9月から遠ざかったままだ。しかし第3節のFC東京との試合では激しいアップダウンを繰り返す京都らしい戦い方で、2-0の勝利を収めた。何より大きかったのは先制点となった川﨑自身のヘディングによるゴールだった。試合後の彼は浮ついた雰囲気もなく、淡々とした表情で語ってくれた。
「サンガスタジアムの開幕戦(対鹿島)は非常に不甲斐ない結果だったと思いますし、自分たちとしても納得のいかない戦いだったので、(今日は)本当にみんな気合入って、モチベーション高くプレイできたと思います」
「フウキ(山田楓喜)のゴールは(一旦は認められたもののVARで)ファウルになってしまいましたが、ああやってどんどん前から奪いにいくようなプレイがあったからこそ、いい感じで試合に入れたと思います。相手のスカウティングもしましたが、1対1にならず自分たちがつながってプレイすることを意識できたので、ボール取った後も下げるだけでなく、常に前を向いていました。そういう姿勢を相手は嫌がっていたと思います」
「(得点シーンは)自分はそんなに大きくないですけど中に入ってセカンドボールで脅威になってやろうと思っていました。自分もファーで待つのは得意なので、そこにいいボールが出てきたので思いきって飛び込みました」
「いい試合しただけで勝てないのは苦しいと思います。勝たないと評価されないですから。その中で自分が先制点を取れてよかった。自分がゴールした時に喜びを共有してくれるサポーターがいてくれてうれしいです」
キャプテンマークを巻く今季、川﨑自身にも大きな成長が求められるシーズンだ。背負うものは大きいが、足はしっかりと地についており、スケールの大きさを感じさせる。
「相手には森重選手とか東選手とか有名な選手がいても、そこにビビらずに前からつぶしにいけたことで自分たちの流れにできたかなって思います」
「2試合結果が出ませんでしたが、自分がこの問題を投げちゃいけないなと思いました。キャプテンだからどうこうではなく、まずは自分のプレイとか、まず自分が相手に負けてはいけないと。サンガタウンの練習でも紅白戦で目の前の相手に負けないことを意識して取り組んでいれば、おのずと自分の良さが出てきますし、チームの良さも出てくると思って自分のことに専念しました」
「(連敗して)もっとできるのになって思いはありました。キャンプでもいい積み上げができていたのに開幕戦でできず、自分たちのスタイルを失いつつありました。(今日の試合で)これで戦うんだというこの1年の指針ができたと思います」
「中盤の3人は去年からもやっていますし、ここにパスを出せば大丈夫だろうとか、信頼関係の中でやれているからこそ、うまくリズム呼吸を合わせることができたと思います」
最後にU-21日本代表の大岩監督が視察に来ていたことを問われると、謙遜しながらも代表への意欲も滲ませた。
(U-21日本代表監督の大岩監督が視察にきていたのは)知らなかったです。大岩さんが来ていようが来ていまいがやることは同じ。目の前のことをやっていれば評価はしてもらえると思います。3月の末に(代表合宿が)あると思いますので、そこにはいきたいと思います」
取材・文/吉村 憲文