サイドバックなのに“59回”もファイナルサードでパスを通すとは…… アーセナルを支える繋ぎの職人

アーセナルの左サイドを支配するジンチェンコ photo/Getty Images

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アーセナルの左サイドバックだけは替えられない

近年はサイドバックに求められる役割が増えており、サイドバックの位置からゲームをコントロールしていく事例も珍しくない。守備の仕事はもちろん、クロスの精度から細かい足下の技術まで求められる時代だ。

もはやサイドバックとは思えぬ数字を叩き出しているのは、アーセナルの左サイドバックを務めるオレクサンドル・ジンチェンコだ。

左サイドバックの選手ではあるが、アーセナルでは中盤のグラニト・ジャカとポジションを入れ替える形で中盤へ入るのが1つのパターンになっている。視野が広く、攻撃を組み立てる能力があるジンチェンコだからこそ出来る仕事と言えよう。
話題となっているのは、先日行われたプレミアリーグ第26節のボーンマス戦だ。

このゲームはボーンマスに2点をリードされる予想外の展開となり、そのリードを必死に守ろうとするボーンマスVS何とかゴールをこじ開けたいアーセナルの構図で後半戦が進んだ。そこで何度も攻撃の出発点となったのがジンチェンコだ。

データサイト『WhoScored』によると、ジンチェンコはこのゲームだけで59本もファイナルサードでパスを通している。これは今季のプレミアリーグ1試合の記録としては最多の数字だという。

サイドバックの選手がファイナルサードでパスを連発するとは、通常では考えられないケースだ。サイドを単純に上下動しているだけでは達成できない数字で、それだけジンチェンコが中へ入っていくケースが多かったということになる。

また中盤で良い関係を築いているジャカは、すでに相手ペナルティエリアでボールに触れた回数が80を超えている。ジンチェンコが組み立て役に回ることで、ジャカを高い位置へ押し出せるのも現アーセナルの強みである。

このパターンは今のアーセナルに欠かせないもので、左サイドバックのジンチェンコは替えられない。同じ役割をこなせるレフトバックは世界を探しても少ないだろう。

結果的にアーセナルの猛攻が実り、ボーンマス戦は3-2と劇的勝利を収めた。2点を先行されたのは反省点だが、それをひっくり返す底力が今のアーセナルにはある。その際に攻撃のスイッチを入れるのがジンチェンコであり、ライバルのマンチェスター・シティから獲得した効果はあまりにも大きかった。

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