「晴れたローマに来る気はあるか?」 アーセナル行き間近だったエイブラハムの心を“モウリーニョの電話”が動かしていた

良い関係を築いている様子のモウリーニョ監督とエイブラハム photo/Getty Images

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1年目は大成功だったエイブラハムのローマ移籍

2003-04シーズンにポルトでチャンピオンズリーグを制したジョゼ・モウリーニョ監督は、以降チェルシー、インテル、レアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、ローマといったビッグクラブを渡り歩き、数々の栄光を手にしてきた。

実績だけでなく、とことん勝ちに徹する姿勢やサッカーに対する情熱なんかもモウリーニョ監督が名将と呼ばれる一つの所以だ。そして選手の心を掴むのがうまいのも彼の大きな特長と言える。

現在ローマで戦っているFWタミー・エイブラハムも、モウリーニョ監督に心を掴まれた選手の一人だ。英『FourFourTwo』のインタビューに応じたエイブラハムは、チェルシーからローマへと移籍した2021年夏のことをこのように回想している。
「チェルシーから移籍する時が来ていて、イングランドやヨーロッパのいろいろなクラブと話をしていた。僕の焦点はロンドンのとあるクラブにあった。どこにも引っ越す必要がなかったし、この土地に慣れ親しんでいた……」

「そのクラブはアーセナルだ。僕の父がアーセナルの大ファンで、彼はこの話にとても乗り気だった。そして全てがうまくいっていた」

「そんな時にジョゼから電話があった。普段は連絡先に登録していない番号には出ないんだけどね。でも『タミー、ジョゼだ』と彼が言ってきた。僕は『わぁ、びっくりした!』という感じだった。彼は家族の様子を聞いてきた。彼はチェルシーにいた頃から僕のことを知っていて、顔馴染みだったんだ」

「『悪天候の土地を後にして、晴れたローマに来る気はあるか?』と僕に尋ねてきた。僕は笑ってしまった。もう少し話をして、プロジェクトのことやチームの野望を聞かせてくれた」

「新しい人生をスタートさせる上で、海外に出て異文化を学ぶというのはまさに絶好の機会だった。覚悟はばっちりだったし、それ以降、振り返ることはなかったよ」

このインタビューでエイブラハムは、アーセナルのレジェンド、ティエリ・アンリ氏が自らのアイドルだったとも明かしている。アーセナル行きを断念したことは彼にとって苦渋の決断だったはずだが、モウリーニョ監督からのローマ行きの勧誘がいかに魅力的だったかということも物語っている。

昨季公式戦27ゴールを決めたのとは裏腹に、今季はまだ公式戦7ゴールのみと苦難の2シーズン目を送っているエイブラハムだが、シーズン終了までに復活を遂げることはできるか。モウリーニョ監督も彼のためにいろいろ手を尽くしているはずだ。

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