先制点演出の植田、結果出せずの北野 ルヴァン杯で若手の明暗くっきり

ルヴァン杯は若手の登竜門(画像はイメージ) photo/Getty Images

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セレッソ大阪0-2京都

 ルヴァンカップには満年齢21歳以下の選手をひとり以上先発起用しなくてはならないという規定がある。同時に普段リーグ戦で試合から遠ざかり、出場機会に飢えている選手を起用するという目的を持つ指揮官もいる。アウェイの京都・曺貴裁監督はリーグ戦とはメンバーをがらりと入れ替え、左SBにプロ通算2試合目の出場となる植田悠太を起用した。その起用に応え、植田は21分に得意の左のクロスで先制点を呼び込むプレイを披露。この試合のヒーローのひとりとなった。

 試合後、曺監督はこのように話した。

「植田は今、選手の前のあいさつで自分がプロになって出た試合で初めて勝てたと喜んでいましたが、でも何もできなかったと。彼の言葉そのものだと思います。僕の中ではよくやったという気持ちがありますが、自分の中でもっともっと成長したいという。あいつを一度も褒めたことがないですが、褒めようかなと思いましたが自虐的なことをいっていたのでほっときます(笑)」
 その植田だが「(先制点の場面は)今日の試合で唯一、自分の持ち味を出せた場面でした。それ以外はあまり良くなかったです。勝ったけど心の底から喜べるような感じではないですね。自分が勝たせたというより、みんなのおかげで勝てました」と反省の言葉ばかりがこぼれた。

「自分自身で突き詰めていけるところがあるし、そこを突き詰めていければ試合にもどんどん絡んでいけると思うので頑張ります」

 初々しい言葉で締めた。

 一方ホームのC大阪の小菊監督はグループリーグ突破に向けてMF香川などほぼベストのメンバーを並べた。右サイドに置かれたのが18歳のFW北野である。昨年のこの大会でニューヒーロー賞を手にし、一層の飛躍が期待されている。ただ今年は今年3月にU-20日本代表の活動があったとはいえ、リーグ戦出場は1試合のみ。主戦場はこのルヴァンカップである。物足りなさが残る。この試合では先発起用されたもののハーフタイムでベンチに下がった。

「チャンスを演出する、フィニッシュに関わる、そういったところはよくできていましたが、最後の結果のところ。そこがすべてだと思います。球際、守備の強度、連続性、そこも今日の課題に挙げられると思います。本人が一番分かっていると思いますので、彼がもう一度自分と向き合って、心技体を整えていく。向上していく。それに尽きると思います」

 小菊監督はやや突き放すように厳しい言葉を並べた。

 当の本人はどうだったのだろう?

「(最初のチャンスは)迷ってしまいました。最初はヘディングでいこうと思ったんですが、途中から足でと。その迷いが良くなかったのかな。また映像を見てしっかり振り返りたいです」

「チームとしても(前回のルヴァンカップの京都戦)0-4の後なんで。ここを勝てばグループステージ突破に前進する一戦だったので、懸ける思いは強かったのですが。小菊さんとも話して、昔の自分を取り戻すためにも。個人としては良い入りはできたと思うし、この試合は自由に仕掛けようという気持ちだったので、そこは良かったと思うし自信になりました」

「慣れない右サイドでしたがいい感触はありました。ただ最後の質。あれを決められる選手にならないといけない。結果を残さないといけないので、満足はできないですが、次につながる試合にはなったと思います。1点取ればポンポンと取れる自信もあるので。リーグ戦でもルヴァンカップでも結果に対する意識を持って、やり続けるしかないと思います」

 次代のエースと期待される立場だけに悩みは尽きない。ただこれは限られた選手にしか味わうことのできない特権ともいえる。

 ミックスゾーンで取材を受ける北野。そこにバスに乗る小菊監督が通りかかった。すると小菊監督は北野のお尻を軽くポンと叩いた。それが何を意味するかを一番よく理解しているのは北野自身だろう。

文/吉村 憲文

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