守備ガッチリ! 長居で完封・4連勝の鹿島はいよいよ本領を発揮しはじめた
鹿島は4連勝で5位となっている(写真はイメージ) photo/Getty Images
関川がゴールも決める活躍で1-0勝利
ブーイングの嵐にさらされた鹿島。一時は岩政監督の更迭も噂されたが、新潟戦の勝利を機に一気にV字回復。3連勝でアウェイC大阪戦に臨んだ。スタジアムのある大阪長居での試合は過去10連勝と圧倒している。強い雨でピッチの一部には水が浮く過酷な状況だったが、ロングボール主体の戦術を徹底。67分にCKからCB関川が頭で合わせて先制すると、これを固い守備で守り切る。長居での連勝は実に11にまで伸び、これでリーグ戦も4連勝。しかもすべて完封。そこで殊勲の関川、そしてコンビを組んで最終ラインにがっちり鍵をかけた植田、更にその起用について岩政監督に訊いた。
「(ゴールの場面はアルトゥール・)カイキが触って、相手も触って、自分は本当に触るだけでした。少しでも(岩政)大樹さんだったり、昌子くんと植田くんに近づけるようにと思ってるんです。結果が出て良かったと思ってます」
「(C大阪のFW)レオ・セアラ選手は背中を当ててくるので、植田くんもやりづらそうにしていました。(自分が)前に出てたりしたら相手もちょっとやっぱりやりづらそうにしていました。ただ競り合うんじゃなくて(プレイの幅は)少しづつ広がってきてるかな。でもやっぱ、まだまだシーズン続くし、タイトル取れなきゃ意味ないですし。無失点で終われれば嬉しいは嬉しい。でも結果最後1位にいなきゃいけないと思って、勝つために自分たちではやっています」
「(ポジション争いの)危機感はすごく持ってます。1試合でやっぱ変わっちゃう可能性もありますし、練習で自分ができないことをあの人たち(他のCB)は普通にやるんで、そういうのはやっぱり見て学ぶことがやっぱ大きいかな」
逆に去年とかちょっと危機感が足りなかったのかと問われると「そうですね」と小さく頷いた。
続いて関川にとっては頼もしいチームメイトであり、ポジション争いのライバルである植田に訊いた。
「DFだけの力ではなく、チーム全員が守備をやってくれたおかげで、この結果はついてくると思うし、こうやって後ろがふんばれてるのもみんなのおかげだと思う。チームとして戦ってるからこそ、こうやっていい結果がついてきてるんで、これを続けていければいい」
厳しいピッチ状態には「全員が割り切ってましたし、こういうピッチでいつも通りできないことはわかってたし、そうなった時点で今日はこういうサッカーになると割り切ってできたっていうことが自分たちの強みだと思うし、こういうサッカーでも勝ち切ったのは次につながると思います」。
レオ・セアラにほとんど仕事をさせなかったことについては「(相手がレオ・セアラでも)別に意識したことはないです。飛んできたボールを味方につなぎ、しっかりはじく。こういうピッチだからこそはっきりさせることが自分の中で大事だと思ってましたし、そういうのをチームメイトに伝えながら、ゲームもコントロールできたかなと思います。いい結果が出ていますが、自分だけの力ではないし、チームで戦ってるからこそ、こうやって1人1人のプレイが良くなってくるし、1人1人自分の良さを出していけていると思います。これはまずチーム全員で戦うってことは、忘れちゃいけないことだし、全ての試合でまずやるべきことだと思います。やる事もはっきりして、全員が自分の持ち味を出せるなってきてるし、能力が高い選手多いので、しっかりと自分たちの力を出せば絶対に勝てると思います」。
新潟戦を機に結果が出始めたことについては「やることがはっきりしました。簡単なことがピッチの中では、それをはっきりさせることが難しいときもあるし、そういったところをはっきりできていることが自分たちの強みだと思います」と語った。
最後にこの守備の安定とCB同士の競争意識について岩政監督に聞いた。
「昌子、キム・ミンテを含め、今年はレベルの高い競争をCBにさせることができています。植田の安定したハイパフォーマンスで、ここまでほぼミスなく戦ってくれています。その横にいてプレイしながら、関川が昌子を含め先輩ふたりと自分を照らし合わせながら練習したり試合をしたりする価値を示してくれています」
「僕が(大岩)剛さんから受け取ったものでしたし、僕が源やナオ(植田)に受け渡したものでした。そこからまた、関川に渡している。今年、ウチが最も狙っていたところが早くも成果として出ています。思っていたより早く関川が成長している。それは彼自身の取り組みだと思います。今年、昌子がケガから戻ってきた時に(関川を)外したのですが、その時の関川の取り組みが素晴らしかった。それが結果として表れている。それが成長だと思います。精神面の成長がピッチ上に表れていると思います」
サッカーは守備からといわれるが、まさに今の鹿島はそれを体現しているようだ。このサイクルが続けば大崩れはないだろう。いよいよ鹿島が本領を発揮し始めた。
文/吉村 憲文