川崎フロンターレは28日、明治安田生命J1リーグ第15節で柏レイソルと対戦し、2-0で勝利を収めた。公式戦の連敗記録を「3」でストップするとともに、4試合ぶりの完封だ。順位も一気に9位まで押し上げている。
そんな中で、最近、試合を重ねるごとに著しい成長を見せているのが25歳のDF大南拓磨。今季、柏から川崎へ加入すると、DFラインに負傷者やアクシデントが続出した影響もあり、すぐさまチャンスが巡ってきた。1年目ながらここまで公式戦18試合に出場している。第13節のFC東京戦で、脳震盪により負傷交代した影響もあってか、翌第14節節の横浜FC戦はメンバーから外れることとなったが、リーグ戦でピッチに立たなかった試合はこの一戦のみだ。
シーズン開幕当初は不慣れな環境もあり、やや不安定さを露呈していたかもしれないが、大南は直近の試合で安定したパフォーマンスを披露。身長184cmと、日本人としては比較的恵まれた体格を持つが、フィジカルだけでなくスピードも武器であり、カバーリング能力が高くてとにかく守備範囲が広い。実際、それは数字にも表れており、今節の古巣柏戦ではCBながら両チームで4番目に多い走行距離(11.104km)を記録している。しかも、ミッドウィークの浦和レッズ戦(ルヴァン杯)でSBとしてプレイし、そこから中3日での試合でこの数字を残すのだから驚きだ。元々SBとしてプレイすることはできるが、川崎では決して慣れたポジションではないだろう。その適応能力とタフさも凄まじい。
そんな大南が柏戦後に試合を振り返ってくれた。
「先制点を奪えて、前半は自分たちのペースで試合を運ぶことができたので、良かったと思います。ただ、3点目を狙いにいく中で、決めきれないと、相手に『まだまだいけるぞ』と思わせてしまうところがあります。なので、3点目をとって相手の息の根を止めるではないですけど、相手に『もう無理だ』と思わせられるようにしないといけないなとも思いました」
「ボールをしっかり回せていたと思いますし、奪われた瞬間の守備とか、前から行くところとか、だんだん良くなっていっているなと感じています」
また、先日、前キャプテンの谷口彰悟(現アル・ラーヤン)が川崎の練習場に姿を現して話題となり、この試合もスタンドから古巣の戦いを見守った。大南と谷口は入れ替わりであったため、それほど直接の関わりはないかもしれない。あるとすれば、2022年に開催されたE-1選手権でともに日の丸を背負って戦った時ぐらいか。ただ、大先輩の存在は大きな刺激になったという。
「彰悟さんもリカバリーとかをしていたので、ゲーム形式の練習を一緒にしたりとかはないんですけど……。試合もいつも通り臨みましたし、特別な思いとかはありませんが、でもやっぱり近くで練習したり、試合を見にきてくれたりするのは、良い刺激になりますね」
そんな偉大な先輩が見守る前での完封勝利。大きな手応えもあったはずだ。
「ゼロで抑えることは後ろの選手としての使命だと思います。失点しなければ負けることもありませんし、(失点をゼロに抑えることは)常に後ろの選手たちで話し合っています。シンくん(DF車屋紳太郎)やカミくん(GK上福元直人)と高い位置で強気に守って、試合を運べたことは非常にポジティブですし、これを続けていきたいです」
後半からは、190cm超えの身長に、100kg近い体重を持つフロートともマッチアップ。大南は規格外の体格をFW相手にも全く動じずに、仕事を最後までやり切った。
「相手のやることがはっきりしてきた中で、そこはうまく対応できたかなと思います。こういう選手たちを抑えていかないと上にはいけないので、ゼロに抑えられてことは良かったです」
最後に「フロンターレはタイトルを狙いにいかなければいけない、取らなければいけないチーム。まだまだチャンスはある」と語った大南。この後のさらなる成長と活躍に期待だ。