ルヴァン杯グループステージE、京都対FC東京。この試合で暫定的に指揮を執ったFC東京の安間ヘッドコーチ。火曜日から指揮官に就任するクラモフスキー新監督からの特別なリクエストは「まったくない」と断言した。その上でこう語る。
「今週、結構ハードな練習もしたし、詰め込み作業もした。それに対して選手がすごく良い反応をしてくれた。『どうだ?』と聞くと、『試合をするのが楽しみ』と返ってきた。試合前からそういう姿勢を示してくれていた」
このメンバー編成、そして[4-2-3-1]システムについては「(けが人が出て)今いる選手で勝ち進まないといけないとなった時に、この布陣がベストだと思った。(ボランチの)安部と松木を近くにすることで離れずにできたスペースに、流動的にみんなが出たり入ったりできたと思う。更にCBを合わせることで安定したボールさばきができたと思うので、2点目のようなゴールが生まれたと思う。(最近の試合では)カウンターを受けていたので、プラス1枚で受け止めようとした。全部のカウンターを防げるわけではないが、前半の最後に戻ってきてみんなで防いだのは最近なかったプレイだったと思う。守りの迫力をあれだけ出せたのは久しぶりだ」。
リーグ戦では3試合連続3失点と守備が課題だっただけに、球際の激しさを取り戻したことは何よりの収穫だろう。
先制点を決めた森重は次のように語る。
「これからもそういう姿を見せられるように、日々の練習と意識を変えていかないといけない。苦しい時に僕たちベテランが支えることも重要だし、結果を出すのは重要。僕らがああいう姿を見せれば、若手も途中から入って自分のために見せてくれる。今日はすべての人がチームのために、サポーターのために、そして安間さんのために戦えたと思う」
「(アルベル監督退任から)短い練習4日間だったけど、安間さんがチームをひとつにまとめてくれた。その結果かなと思う」
やっと結果を出すことができた。ただしその表情が緩むことはなかった。
ルヴァンカップ6試合すべてに出場したGKの野澤大は「ボランチが安部と松木とセカンドボールに意識が高い選手で運動量を出してくれていた。そこで僕もそこから逆算した攻めるプレイをした」。
「(相手のカウンターに対しては)本当に話し合った。ただ僕からのキックでセカンドを回収され失点につながってしまった。もったいない場面だった。それ以外は基本的にはリスクを回避できたと思う」
「(チームがのびのびできたか?)はい。特に前半はやりたいことができていたと思う」とチームの変化を感じられたようだ。
2点目を決めた仲川は「ゴールはほとんど見えていなかった。みんなが気持ちを出してくれた試合。それが勝利につながったと思う。(新監督は横浜FM時代に選手とコーチの間柄だが)色々話しながらやりたい。どういう形になるかは分からないが、いい形で続けていければ」。
一方引き分けでも次のステージに進出できた京都だが、ミスがらみの失点でグループステージ敗退となってしまった。CBの麻田は次のように語った。
「時間帯も含めてやっちゃいけない失点だったと思う。相手の時間帯になった時にそこを乗り越える、押し返していくという力が足りなかった。押し込まれてた時にどうやってプレスで押し返していくか大事になる。誰がボールに寄せる、ボールを持っている相手をどれだけ限定できているかとかで、周りの選手の寄せられるスピードや距離が変わってくる。難しいところだが、割り切ってやる必要があると思う。やり方はいっぱいあると思う」
「2連敗スタートから3連勝して首位に立ったのはチームの総合力だと思う。それがやれるチームだと思う。逆に最後を乗り越えられたなかったのはリーグ戦に課題が残ったと思う」
最後に京都の曺貴裁監督。
「これが力足らずなのだということを感じた」とチームの現状を冷静に振り返った。
「まだまだ稚拙なことで失点して流れが止まってしまいました。1点返したのに、その後に集団性を見せられないまま追加点を奪われてしまいました。1-1や1-2でしたら最後までわからない展開だったにもかかわらず、我慢できずに失点してしまうのが今のサンガの現状です。先ほどミーティングでも話しましたが、J1で長くプレイしてきた選手がいない中で、本当にこれからもJ1でやっていくのかという、自分やチームに対しての厳しさがまだ選手に足りない感じがする」
経験値が低い選手が多いだけに、チームの飛躍のためにはまだまだ学び続けなくてはならない。
「今日負けたことで、引き分けで棚ぼたのようにプライムステージに進出するよりも、実際にリーグ戦しか残っていないという状況になって横浜C戦に臨めることをポジティブに捉え、選手個人でなくチーム全体で上げていかなければならないと感じた」
両者のコメントからはチームの現状が如実に垣間見えた。週末にはリーグ戦が再開する。この試合から何を学び、どうやって次につなげていくのかが最も重要になる。
文/吉村 憲文