勝負を分けた“ほんのわずかの集中力”の差 京都退け6戦負けなしのG大阪

G大阪は福田のゴールで勝点3(画像はイメージ) photo/Getty Images

G大阪1-0京都

 試合中雨こそ落ちてこなかったが、気温28.6℃、湿度78%というまさに梅雨の空模様。会場となったパナソニックスタジアムはスタンドで周囲が密閉されているために、ピッチ上は蒸し風呂状態だった。試合終了の笛が鳴ると、両軍ともに倒れこむ選手が続出した。

「湿度が高くて蒸し暑い厳しいコンディションの中でのナイトゲームだったが、京都の選手だけでなく、G大阪の選手も脚がつる選手が続出した」

 選手と同じピッチレベルで指揮を執った京都の曺貴裁監督には、その過酷な環境がよりリアルに感じられただろう。それだけになおさら試合をどうコントロールするかが鍵になる。

「G大阪が我々をおびき寄せて素早いカウンターを狙うサッカーというよりは、長いボールを蹴るなどオーソドックスなスタイルに変わってきたと感じていた」

 実際G大阪の選手もハッキリとチーム戦術の変化を口にする。

「もうちょっと落ち着いた時間というのも作りたいというところだが、京都もアグレッシブに来る中で両サイドの裏を簡単にひっくり返してる場面もあったし、優先順位の中では早い攻撃っていうのがかなり増えた」(左SB黒川)

 リーグ戦では前回4月に対戦し、2-1で京都が勝利した。ポゼッションにこだわるG大阪が京都のプレッシングに手を焼き続けた。しかしこの試合ではG大阪の割り切った戦い方が京都のプレスを無効化した。

 最後尾でチームの起点となったGK東口は「(ロングボールは)あれが一番相手は嫌やし、自分らもやられたら嫌なんで。あれを警戒してきたらどんどん手前が空いてくるんで、自分たちのやりたいサッカーがやりやすくなったと思うし、そういう使い分けをしっかりできないと、足元だけやったら潰される。今はそういう使い分けがチームとしてうまくできてるんで、いい結果が出てるんじゃないかなと思っている」。

 互いに拮抗した内容ではあったが、試合を落とした京都には課題が残った。

 インサイドハーフで起用された松田は「今日は相手が長いボールを蹴ってきたので、前でボールを奪える場面が少なかったが、皆で声をかけ合いながら意思疎通を図りながら対応した。今日はロングカウンターが多くなったが、そこの精度が課題。ボールの持ち方や人数をかけて上がってくるところは良かったが、上がってくるタイミングやパスを出すタイミングなど、仕掛ける部分での精度を上げていかなければならないと感じた」。

 京都は右SBのレギュラーだった白井がF東京へと移籍し、ルーキーの福田を起用した。ファン・アラーノという非常に能力の高い相手とマッチアップする形になった。

「京都に求められてるSB像っていうのはやっぱりこう攻守にアグレッシブに戦うっていうところが、やっぱ一番のポリシーだと思うので、そこに関してはこう白井選手がいる時から自分の方ができるっていうぐらいアグレッシブにやっていたので、そこは何ひとつ変わらなかった。ただクロスの部分でやっぱ白井さんは1本でもしっかり味方に合わせるこだわりが見えた。そこに関してはまだまだ自分の中ではこう試合を決定づけられるようなゴールだったり、アシストという形で残してない。もっともっと超えていかなきゃいけないなって思う」

 決勝点が生まれた場面では自身の背後にいた選手にまったく気づいていなかったようにも見えた。

「少し疲れもあったが、やっぱりああいう場面でしっかり首振って。厳しいボールだったが、あそこにしっかりついていくっていう。そこもやっぱひとりのSBとして求められるとこだと思うんで、そこはもっともっと突き詰めていきたい」

 最後にその決勝点を決めたFW福田。

「(食野)亮太郎くんから(山本)悠樹くんにボールが入った時点で、僕があそこに入っていくのは決めていた。ずっと相手の顔を見ていて、ボールウオッチャーになっていたので、これはいけるなと思っていた。悠樹くんが良いボールを上げてくれたのとジェバリがニアでつぶれてくれたのがすべてだったかなと思う」

「本当に自分にとってもターニングポイントになる試合だったと思ったし、今日結果を出せなければ僕はこのチームにいる資格はないというぐらいの気持ちで臨んだ。結果が出て安心しるけど、すぐにまた試合が来るので、次もまた結果を残せるように頑張りたい」

 局面ではG大阪の福田が、京都の福田をわずかにキャリアの分だけ上回っていたのかもしれない。

 過酷な環境での試合だったが、最後は京都がハーフコートで押し込むなどどちらに転んでもおかしくない展開だった。局面で僅かに集中力に優ったG大阪が勝利をものにしたといえるかもしれない。


文/吉村 憲文

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