「天皇杯は関係ないし、それは言い訳でしかない。今日はシンプルに京都のほうがいい、京都らしいサッカーをして上回られた。今日は京都が勝ちに値するゲームをしていたと思う」
名古屋の稲垣は完敗であることを認めた。更に名古屋の苦しいチーム事情もある。
長谷川監督はベンチにボランチタイプの選手が多かったことを問われ「誰が残っているかは皆さん(記者団)も分かっていると思う。貴田(遼河)が今ケガで使えない状況なので、他に攻撃的な選手で言えば(豊田)晃大もいるが、山田にしても(長澤)和輝にしても、前回の天皇杯で頑張ってくれたので、今回はこういう布陣にした」と話した。
日中は真夏のギラギラした太陽が降り注いだ京都。キックオフ時刻の気温は28.1℃。すり鉢状のスタジアムはピッチレベルになると熱の逃げ場がなく、容赦なく選手の体力を奪っていく。更に名古屋の選手は水曜日に天皇杯を戦った。それも120分プラスPK戦。一方のホームの京都は天皇杯はない。蓄積した疲労がまったく違う状態だった。
左WBの森下はこう話す。
「準備のところでどこまでできたかっていうところをまた振り返りたいと思うけれど、動かなかったっていうのは正直なところ」
「色々言い訳すればできるけど、ただ試合内容どうこうとかじゃなくて本当僕の心構えのところ、なんかどっか効率よくやってやろうとか、どっか効果的なプレイをやってやろうみたいな。そういう気持ちになってしまい、やっぱりいつもみたいに泥臭く、みんなのために走るみたいなところがおろそかになっていた」
どんなコンディションであろうが、それでもふり絞るというプロの心構えの部分を反省した。
戦術面ではどうだろうか? 3バックの中央でプレイした中谷は。
「僕らとディフェンスラインと中盤の間にちょっと山崎選手が降りて、あそこで拾われることも多かった。木下選手もやっぱり前線で体を張って起点を作られることも多かった」
「前半途中から僕から(和泉)竜司くんだったり、森下に出してそこから起点を作っていく、押し込んでいくっていうところが良くなったので、もう少し僕も背後見ながら最初からやるべきだった」
キックオフ直後から京都のプレッシャーにさらされ、押し込まれ続ける展開。自らのゴールで一旦はゲームを振り出しに戻した和泉は試合を次のように振り返った。
「チームとして狙いはあって、相手のサイドバックの背後を特に入りはどんどん狙っていこうという部分はあった。相手のプレッシャーに押し込まれて、セカンドを拾えずに、逆にセカンドを拾われてショートカウンターや、空いたスペースを使われてしまった」
「まずひとりひとりが相手に負けていたと思う。見つめ直すいい機会になったと、今後この試合をそう思えるようにしていきたい」
選手の口から出てくるのは反省の弁ばかりだった。厳しい日程で、しかも酷暑。相手とはコンディションに大きな差がある。それでも否応なしに試合はやってくる。名古屋がこのまま優勝争いを続けることができるのか、それともズルズル後退していくのか。この試合の教訓を今後に活かせるが問われている。
文/吉村 憲文