サン・マクシマン→バーンズが“アップグレード”である理由 「悪い監督にとっては良い選手、良い監督にとっては悪い選手」

超絶ドリブルでファンを沸かせたサン・マクシマン photo/Getty Images

ニューカッスルらしい堅実な補強

FWアラン・サン・マクシマンのサウジアラビア行きが秒読みといわれるニューカッスル。代役はレスターFWハーヴィ・バーンズであるといわれ、移籍金3800万ポンドほどで加入する見通しであることが報じられている。

しかし、サン・マクシマンからバーンズへの交代はやや地味な印象がある。派手なドリブルで相手を抜き去るサン・マクシマンは、多少不利な状況でもなんとかしてしまえる凄みがあった。バーンズも鋭い切り返しなど1対1にも強みがある選手だが、そこまで強烈な個の力を見せつけた印象はない。

それでも英『Daily Mail』は、バーンズへの交代は「アップグレード」であると主張する。「アラン・サン・マクシマン。悪い監督にとっては良い選手。良い監督にとっては悪い選手」と綴り、スティーブ・ブルースからエディ・ハウに指揮権が移る過程でサン・マクシマンの立場が変化してきたことを指摘した。ブルース監督時代は存分に異能を発揮していたが、ハウ監督となってからは出場機会が減少。昨季のリーグ戦のスタメン出場は12試合、得点も1ゴールにとどまった。

また、サン・マクシマンはその特異なプレイスタイルから、周囲との連携がとりづらい。たとえばチームが劣勢であるときはその個の力は頼りになるが、システムが機能しているときは規律が優先されるだろう。ニューカッスルは今や、試合の主導権を握るほうのチームだ。

バーンズは規律よく動くことができ、右も左もこなせる柔軟性がある。レスターではリーグ戦32試合に出場し13ゴールを決めた。数字を残しているのもバーンズのほうだ。そこまで派手さはないが、確実にチームに貢献できる選手で、実にニューカッスルらしい補強といえる。

サン・マクシマン放出は、FFPの要件を満たすために選手の給与を調整する必要があるという理由が大きいといわれ、FFPのない時代であれば彼のようなジョーカーをチームに残す選択肢もあったかもしれない。しかし、やはり現代では堅実さや合理性が優先されるようだ。

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