トーマスが見せる新境地 アルテタの偽SB戦術はライスとの共存も可能にした

右サイドバックとして先発するトーマス photo/Getty Images

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守備時はサイドバック、攻撃時はアンカーに

プレミアリーグ開幕2連勝を飾ったアーセナル。第2節クリスタル・パレス戦ではDF冨安健洋の退場により数的不利に陥ったが、前半に挙げたマルティン・ウーデゴーのPKによる1点を死守。ブライトン、マンチェスター・シティと勝点6で並ぶことに成功している。

この2試合、右サイドバックとして先発したのがMFトーマス・パルティだ。MFデクラン・ライスの加入により定位置を追われ、サウジアラビアへ移籍するのではないかという噂もあったが、蓋をあけてみれば今季も先発を続けている。

共存のカギはトーマスの起用法となる。右SBとしてスタートするが、攻撃時に中盤の底まで上がり、チームは[3-1-3-3]とも[3-1-6]とも表現できそうな攻撃的なシフトに変わる。この[1]の位置にいるのがトーマスで、昨季と同じようにアンカーの役割を果たしている。ライスはボールをもらいに下りてくることも多いが、基本的にトーマスよりも前の位置をとっている。トーマスを右SBとすることで、ミケル・アルテタ監督はアタッカーの枚数を削ることなく、トーマスとライスの共存を可能にしている。
英『Daily Mail』では「トーマスは右SBで新境地を拓いた」と称賛している。昨季終盤に必要に迫られて行なった右SB起用だが、今季は明らかに戦術として狙いをもって行われている。開幕からの2戦の相手はノッティンガム・フォレスト、クリスタル・パレスと格下だったが、同紙はシーズンのこの段階で、トップ4に挑戦しない(下位の)クラブ相手にこれを実験することは理にかなっていると指摘している。

開幕から2戦の戦い方は、要は攻撃的に戦うときのひとつのオプションなのだろう。この戦術にともなって、センターバックのガブリエウ・マガリャンイスがベンチに座っていることも話題になっているが、同紙はより手強いチームに対してはライスとトーマスを中盤で組み合わせ、ガブリエウをCBに、ベン・ホワイトを右SBに戻すという戦い方があることを指摘している。

選択肢が多くあることが、今季のアーセナルの強みだ。トーマスの使い方もそのひとつで、強敵と相対するときはまた違ったシフトが見られるのだろうか。

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