目標「トップ3」のために意地見せたC大阪  香川も「絶対負けられない」と語った名古屋戦

3-1とC大阪が勝利した(画像はイメージ) photo/Getty Images

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もう立ち止まっている余裕はない

「ビッグマッチ。絶対負けられない試合。本当にプレッシャーにかかるゲーム」(MF香川)

「我々の目標である『トップ3』、更に優勝争いを考えた場合、必ず勝たないといけない試合だった」(小菊監督)

 ふたりの言葉を借りるまでもなく、C大阪だけでなく名古屋にとっても上をいく横浜M、神戸に食らいつくためどうしても勝ち点3が必要な試合だった。
 試合直前のゲリラ雷雨でキックオフが30分遅れ、やや水を差される形になったものの、試合は序盤から目まぐるしく動いた。

 9分にホームのC大阪が4試合連続先発に抜擢されたFW上門のゴールで先制。

「レオが上手く抜け出してくれた。レオがよく見てくれたと思う」(上門)

 対する名古屋は再開のキックオフからのプレイで名古屋の左WB森下がゴールを決めて見せた。

「練習から信じて(中央に)入るというところ、足を止めないというところは(右WB)野上と話し合っていた。WBがいい形でゴールを取れたんじゃないかなと思う。そこまで運んだチームのビルドアップの仕方はすごく良かったと思う」(森下)

 互いに持ち味を出した形だった。

 名古屋は森下が「スカウティングでWBの絞りが重要になるといわれていた」と話す通り、試合立ち上がりにオフサイドの判定ではあったが野上がゴールネットを揺らすなど、ピッチを大きく使った展開を見せた。

 ボランチの内田は「(野上のゴールは)オフサイドになったが、前半の早い時間帯に狙っていた形でゴールを決めることができたのは良かったと思う。失点後にすぐに追いつけたことは、チームとしても良かった点」

 ただその一方で「試合を通してボールを持たれる時間が長かった」と90分を振り返った。

「相手をどうハメていくか、チーム全体で見直さなければいけない。自分も含めてボールを奪ったあとにロストしてしまうシーンが多くあった。そこも反省すべき点」

 その後オープンな展開ながら、ともにゴールが遠い展開となった。名古屋の長谷川監督は「内容的には悪くなかったと思う。どちらが2点目を先に取るかという状況」。その中でC大阪は71分に上門がスローインからの流れで、強引に中央に切れ込み、左足を一閃。ゴールを陥れた。

「監督が信頼して使ってくれて、この期待に応えなくてはいけないがなかなか取れず、今日2ゴール取れて良かった。(2点目は)あれが自分の持ち味で、あれを毎試合毎試合できるようにしたい。あのゴールは自信につながる。(複数得点に)久々に手ごたえを感じている」(上門)

 FWのヒーローが上門なら最終ラインで地味ながらしっかりゲームをコントロールしたCB進藤の存在も大きい。試合前日にCB鳥海にアクシデントがあり、ケガで試合から遠ざかっていたヨニッチとコンビを組むことになった。

「数十分経てば別に何も問題なく、誰が出ても特にDFラインはやれると思う」

 名古屋に関しては「非常にクオリティ高い相手で特徴ある選手たちだったが、基本通り約束事を守っていれば。こうやって結果が出るんだなっていうのを改めて感じた。それは自分だけじゃなくて、周りのチームメイトの協力も必要になってくる」とチームメイトを称えた。

 キャプテンマークを巻く香川もチームとしての戦いに手応えを感じているようだ。

「メンタル的にもチームとして崩れずにやり続けた結果。内容的にもしっかりとコントロールしていた。僕たちの勝ちがふさわしいゲームだったんじゃないかなと思う」

 J1も9試合を残すだけ。勝ったC大阪、敗れた名古屋だけでなくすべてのチームにとって1試合1試合が大きな意味を持つ。

「切り替えて残り9試合、1試合1試合戦っていくしかない」(長谷川監督)

 J1で初めて複数得点を記録した上門がいう。

「次が大事」

 まさにその通り。立ち止まっている時間はない。


文/吉村 憲文

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