C大阪は「トップ3」へ大きな勝利 裏をかいた川崎の3バックに混乱も…… 

終了間際にはPKも決まりC大阪が3-0勝利(画像はイメージ) photo/Getty Images

C大阪3-0川崎

「後ろの選手はかなり疲弊していて、シンプルに元気な選手を使った。それに伴って、3バックが有効だろうと。(使える)前線の選手も多くいるので、彼らを活かせる形ということも含めて3バックで臨んだ」

 天皇杯から8人の選手を入れ替え、なおかつ3バックを採用した理由を問われた川崎の鬼木監督は天皇杯から中二日という日程に加えて、C大阪対策であったと明かした。

 実際3バックは機能しており、前線からのプレスでC大阪を押し込む場面も多々見られた。

 C大阪の小菊監督は前半の苦戦を「(予想された)[4-4-2]や[4-3-3]のシミュレーションとは少し違っていので、毎熊や舩木が低いポジションを取ったときにうまく誘導されて、ハメられるシーンがあった」と分析した。

 ピッチ上の選手にしてみれば、その戸惑いはより顕著で、MF香川は「(3バックは)想定外。2トップも想定外。そこで前半、うまくハマらなかったし、少しバタついたところもあった」。

 小菊監督はハーフタイムに映像を使って説明。

「ビルドアップの際にGKヤン・ハンビンを入れて、相手の(FW)2枚に対して、GKとCBで幅を取り、3人プラス、SBの選手ふたりがもう少し高い位置を取ってボックスを共有していく。そういう話をして後半に臨んだ」

 鬼木監督は「後半は(C大阪の)サイドチェンジ。そこはC大阪のストロング(ポイント)。シンプルにウチの左サイドの瀬川と田邉の間を取る狙いはあったと思う」と話した。

 C大阪はSBが大きく内に絞りボランチのようなポジションでプレイすることを得意とするが、後半のビルドアップに手を加えたことでピッチの幅が使えるようになり、逆サイドのSBが空くという好循環を生むようになった。

 ゲームが動いたのは52分。日本代表に選出されたばかりの毎熊がボランチの喜田にボールを入れる。

「セオリーだと後ろに戻すことが多い」(毎熊)が敢えて中盤でつなぐ。

 この毎熊に対して川崎は「自分が毎熊にプレッシャーをかけた時にMF橘田とMFシミッチもきてしまい、3人が毎熊にいってしまった」(MF瀬川)

 C大阪はそこを剝がしたことでスペースを生みだし、サイドハーフのジョルディ・クルークスはほぼノープレッシャーでクロスを上げることができた。結果的にはオウンゴールと記録されたが、僅かな守備の綻びが大きな川崎に代償を強いる結果になった。

 失点をしてどうチームを立て直すかだったが、川崎は本来の4バックに戻すという選択肢もあった。ただ「(2点目の)失点の前に(選手を)入れることができたら良かったが、自分のジャッジも含めて悔やまれる」。

 鬼木監督にとっては痛恨だった。

 苦しいチーム事情の中で川崎は最後まで持ちこたえてはいたが、92分にPKを奪われ万事休す。

「(長年)リーグ戦でタイトル争いをしてきた中で、こういう中位にいるのは、ここ最近は選手も経験していない。目標をもっと明確にしないといけない。自分たちの目指すもの、サッカーの内容も含めて。勿論勝利が一番必要だが、その両方をしっかりと求めていかないと勝利は手に入らないと思う」

 リーグ終盤になってもチーム状態は上向かず、苦しい戦いが続く川崎。残り試合はその意地を見せることができるだろうか?

 一方C大阪は「前節の名古屋戦に続いて内容を伴った勝利ができたことがうれしい。試合をベンチで見ながら、選手が強く、逞しく成長している、戦っていると強く感じた。負けたら(トップ3は)厳しくなるこの大事な2試合、上位対決での連勝は非常に大きいと思う」と小菊監督は相次ぐ強豪撃破に自信を深めた。

 川崎の大胆なシステムチェンジもあり、拮抗した内容になった試合。僅かな綻びを突いたC大阪が、手負いの川崎を捻じ伏せた。

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