横山暁之は気持ちが入っている 高橋潤哉は山形の“希望の星”
横山はすでにチームに馴染んでいる。千葉を悲願のJ1昇格に導けるか photo/Getty Images
私はJSPORTSで放送されている『Foot!』でコメンテイターを務めています。担当するのは育成年代の大会や選手を紹介する木曜日で、アジア杯に出場した鈴木彩艶や細谷真大などは過去に出演したことがあるいわば“卒業生”です。
高校生のころから見守ってきた選手、木曜日の『Foot!』で取り上げた選手がプロになると、お父さん目線でうれしくなります。プロになれなかった子もいますが、Jではもちろんすでに海外で活躍する子もいて、これからもっと増えると確信しています。
そうしたなか、今回は先日開幕したJのなかから飛躍が期待される8人を紹介したいと思います。まだまだ成長する伸びしろを持つ有望株ということで、J2から7人、J3から1人という人選になっています。
横山暁之(千葉)は藤枝から移籍し、すぐにすんなりフィットしました。うまくて、走れて、戦える。いまの時代に求められる要素を兼ね備えていて、ボランチでいけるし、トップ下でも輝くタイプです。1節山形戦、2節藤枝戦でゴールしていますが、なにより気持ちが入っているなと感じます。
私の息子(名良橋拓真/宮崎)はかつて藤枝で横山暁之とチームメイトで、彼のことをよく知っています。その息子が「ヨコはすごいのよ!」と語っていました。親子揃って期待しており、横山暁之の活躍によって千葉がJ1昇格という結末もあると思います。
高橋潤哉(山形)はその千葉と対戦した開幕戦に途中出場し、2得点1アシストで強烈なインパクトを残しました。さらに、続く2節の栃木戦でも1得点しています。力強さ、泥臭さがあるストライカーで、前線でターゲットになれます。シュートにもどん欲で、相手に怖さを与えています。
山形アカデミー出身のホームグロウン選手で、駒澤大やJ3(沼津や福島)で経験を積んで帰還したチームにとっての“希望の星”です。引き続き、順調に成長してほしいですね。
窪田稜(愛媛)は過去にも紹介したことがあるサイドアタッカーで、昨季プレイした岐阜から個人昇格し、すんなりフィットして秋田との開幕戦であいさつ代わりの決勝ゴールを決めました。2節清水戦でもチャンスを作っており、J2でも十分に通用しています。
左右どちらでもプレイできますが、愛媛では右サイドを任されています。秋田戦で決めたミドルシュートはカットインから右足を思い切りよく振っており、持ち味が発揮されたものでした。この窪田稜に限らず、今回紹介する選手みんなに当てはまることですが、今後はマークされるでしょう。厳しい状況になったときに、どう打開するか。そこに、さらに成長するポイントがあると思っています。
落合陸は“来る”と思う 木村卓斗は代えがきかない
甲府の木村はACL蔚山戦でも巧みなボールさばきをみせた photo/Getty Images
グレイソン(岡山)は力強さとスピードを兼ね備えていて、しなやかさもあります。KリーグでプレイしていたことでJのスタイルや環境に馴染むのに時間がかからず、栃木との開幕戦で得点しています。
昇格を目指す岡山ですが、昨季は二桁得点する選手がおらず引分けが多く勝点が伸びませんでした。グレイソンにはわかりやすく二桁得点が期待されています。この選手のゴール数に比例して、岡山の勝点も増えていくかもしれません。
佐川洸介(群馬)は相当な覚悟を持って東京Vから移籍したストライカーで、1節鹿児島戦、2節熊本戦ともに途中出場で攻撃に変化を生んでいました。熊本戦では胸トラップから素早く右足を振り抜いてチームに勝点1をもたらしています。力強さがあって起点になれるタイプであり、ルヴァン杯でも交代出場で得点しています。スーパーサブでの出場が続いていますが、先発出場も見込まれる成長が楽しみな選手です。
落合陸(水戸)はトップ下でプレイする選手で、鹿島とのプレシーズンマッチを見て惚れました。柏のアカデミー出身で技術力が高く、ライン間でボールを受けてうまく前方にボールを運ぶことができます。献身性もあり、しっかりと走れて戦えます。これから“来る”んじゃないかと思っています。
木村卓斗(甲府)は横浜FMのアカデミー出身で、昨季夏に愛媛へ移籍して優勝に貢献しました。もともとは右サイドバックでしたが、今季からは甲府でプレイし、ボランチとして代えのきかない存在になっています。誰とでも組める器用さがあって、ボールを奪う力、ゲームを作る力があります。上背はないですが、思い切りの良さがあります。伸びしろがあるなと感じています。新天地でどれだけできるか注目しています。
最後にJ3から泉柊椰(大宮)を紹介させてください。中盤の左サイドからヌルヌルとした独特なドリブルでチャンスを作り、開幕戦で2得点+アシストも決めました。縦への突破力があるし、カットインから右足を振り抜く力もあります。大宮のストロングポイントになっていて、今後も得点に絡むことが期待されます。数字を求められるなか、どんな結果を残すか楽しみにしています。
この泉柊椰もかつて木曜日の『Foot!』に関わってくれた選手です。メディアはどうしてもJ1や代表に注目しがちですが、J2やJ3にも成長が楽しみな選手がいっぱいいます。このコラムや番組を通じて、育成年代も頑張ってるぞとこれからもどんどん伝えていきたいと思っています。
構成/飯塚 健司